局所性脳損傷と比べた場合のびまん性軸索損傷の特徴として正しいのはどれか。
- 脳幹部の症状が出現しやすい。
- 急性硬膜下血腫を合併しやすい。
- 重度の感覚障害を合併しやすい。
- 行動障害は早期に改善しやすい。
- バランス障害は軽度であることが多い。
解答解説
正解は1.脳幹部の症状が出現しやすいです。
びまん性軸索損傷(DAI)は、高速回転や衝撃によって脳全体に軸索の断裂が生じる損傷です。特に、脳幹部や大脳白質の損傷が多く、意識障害や脳幹反射の異常などの症状が出現しやすいのが特徴です。局所性脳損傷とは異なり、全般的で非特異的な症状を呈することが多いです。
各選択肢の解説
- 脳幹部の症状が出現しやすい。
正解。びまん性軸索損傷は、脳幹部を含む広範な部位に影響を及ぼすため、脳幹反射の異常や意識障害、呼吸・循環調節の異常がみられることが多いです。 - 急性硬膜下血腫を合併しやすい。
誤り。急性硬膜下血腫は局所性脳損傷(例えば頭部打撲など)により、血管の破綻が原因で生じることが多いです。びまん性軸索損傷とは直接の関連性はありません。 - 重度の感覚障害を合併しやすい。
誤り。びまん性軸索損傷では、感覚障害よりも意識障害や注意障害、行動障害といった認知機能の障害が主症状となります。 - 行動障害は早期に改善しやすい。
誤り。びまん性軸索損傷では、認知や行動障害が長期にわたり持続することが多く、早期に改善することは少ないです。 - バランス障害は軽度であることが多い。
誤り。びまん性軸索損傷では脳幹部や小脳の機能にも影響を与えることがあるため、バランス障害がみられる場合もあります。軽度であるとは限りません。
ワンポイントアドバイス
びまん性軸索損傷は、高エネルギー外傷による広範な脳の損傷が特徴です。局所性脳損傷と異なり、特定の症状ではなく、全体的な意識障害や脳幹反射異常が主体となります。MRI(FLAIRや拡散強調画像)での診断が重要であり、リハビリでは意識レベルや認知機能の改善に焦点を当てる必要があります。