第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題86

痛風について正しいのはどれか。

  1. 女性に多い。
  2. 80代に多い。
  3. 多臓器に症状を起こす。
  4. るいそうに合併しやすい。
  5. ピロリン酸カルシウム結晶が関節に沈着する。

解答解説

正解は3.多臓器に症状を起こすです。

痛風は、尿酸の代謝異常によって血中尿酸値が上昇し、関節炎をはじめとする様々な症状を引き起こします。尿酸塩結晶は関節だけでなく腎臓などの臓器にも沈着し、腎障害や尿路結石などを引き起こすため、多臓器に症状を及ぼす疾患です。

各選択肢の解説

  1. 女性に多い。
    誤り。痛風は男性に多く、特に中高年の男性に多発します。女性では閉経後に発症リスクが上がりますが、それでも男性に比べて頻度は低いです。
  2. 80代に多い。
    誤り。痛風は主に30~60代の男性に多くみられます。高齢者には比較的少ない疾患です。
  3. 多臓器に症状を起こす。
    正解。痛風では、尿酸塩結晶が関節だけでなく腎臓などにも沈着し、痛風腎や尿路結石などの臓器障害を引き起こします。
  4. るいそうに合併しやすい。
    誤り。痛風はむしろ肥満や代謝異常に関連が深く、るいそう(痩せすぎ)とは関係がありません。
  5. ピロリン酸カルシウム結晶が関節に沈着する。
    誤り。ピロリン酸カルシウム結晶が関節に沈着するのは、偽痛風(CPPD:カルシウムピロリン酸二水和物沈着症)であり、痛風では尿酸塩結晶が沈着します。

ワンポイントアドバイス

痛風の病態と臨床的特徴を押さえましょう:

  • 原因:尿酸の代謝異常(プリン体代謝の過剰、排泄障害など)。
  • 好発部位:足の第一中足趾節関節(ポドグラ)。
  • 関連疾患:肥満、高尿酸血症、糖尿病、高血圧などのメタボリックシンドローム関連疾患。
  • 合併症:痛風腎、尿路結石。

痛風と偽痛風を区別する要点も確認しておきましょう。