胃全摘出術後に起こりやすいのはどれか。
- 脱 水
- 貧 血
- 脂肪便
- 出血傾向
- 低蛋白血症
解答解説
正解は2.貧血です。
胃全摘出術後では、胃で分泌される内因子(インスリン様因子)が欠如するため、ビタミンB12の吸収が障害されます。この結果、巨赤芽球性貧血が生じやすくなります。また、鉄分の吸収も影響を受け、鉄欠乏性貧血も起こりやすくなります。
各選択肢の解説
- 脱 水
誤り。胃全摘出術後に直接脱水が問題となることは少ないですが、術後の食事摂取が制限される期間に脱水リスクが上がる可能性はあります。ただし、主な合併症ではありません。 - 貧 血
正解。胃全摘後の貧血は、内因子欠乏によるビタミンB12吸収障害が主な原因です。また、胃酸の不足により鉄の吸収も低下し、鉄欠乏性貧血も併発することがあります。 - 脂肪便
誤り。脂肪便は、膵臓や胆汁の分泌障害で起こることが多く、胃全摘出術後の一般的な問題ではありません。 - 出血傾向
誤り。出血傾向は胃全摘出術後の典型的な合併症ではありません。肝機能障害やビタミンK欠乏症が関与する場合には出現することもありますが、頻度は高くありません。 - 低蛋白血症
誤り。低蛋白血症は主に栄養摂取が著しく不足している場合に起こりますが、胃全摘出術後では一般的ではありません。
ワンポイントアドバイス
胃全摘出術後の主な問題は以下の通りです:
- 巨赤芽球性貧血:ビタミンB12の吸収障害(内因子欠乏)。
- 鉄欠乏性貧血:胃酸不足による鉄吸収低下。
- ダンピング症候群:食物が小腸に急速に流入することで起こる症状(早期と後期)。
術後の栄養管理や定期的なビタミンB12補充が必要であることを覚えておきましょう。