脳卒中片麻痺の上肢に対するCI療法〈constraint-induced movement therapy〉で正しいのはどれか。
- 非麻痺側上肢を拘束する。
- 理学療法士の近位監視下で行う。
- 痛が少しでもあれば適応とならない。
- 他動的関節可動域運動を長時間行う方法である。
- 患側手指がBrunnstrom法ステージⅡで適応となる。
解答解説
正解は1.非麻痺側上肢を拘束するです。
CI療法(Constraint-Induced Movement Therapy)は、非麻痺側の上肢を拘束し、麻痺側の上肢を集中的に使用することで、脳の可塑性を促進し、麻痺側の機能改善を図る方法です。この方法は、非麻痺側の使用を制限することで、麻痺側の利用頻度と能力の向上を目指します。
各選択肢の解説
- 非麻痺側上肢を拘束する。
正解。CI療法の基本的な考え方は、非麻痺側の使用を制限し、麻痺側を積極的に使用することで、麻痺側の機能を高めることです。このため、非麻痺側上肢を拘束するのが正しい方法です。 - 理学療法士の近位監視下で行う。
誤り。CI療法は、患者が日常生活で自律的に麻痺側を使用するよう促すアプローチであり、すべてを理学療法士の監視下で行うわけではありません。ただし、初期の訓練や動作指導では理学療法士の介入が重要です。 - 痛が少しでもあれば適応とならない。
誤り。軽度の痛みがある場合でも、痛みが麻痺側の使用を妨げない範囲で適応となります。ただし、強い痛みがある場合や炎症を伴う場合は適応外となることがあります。 - 他動的関節可動域運動を長時間行う方法である。
誤り。CI療法は、他動的運動ではなく、患者が麻痺側を能動的に使用する訓練を重視します。日常生活の活動や課題を通じて、麻痺側の使用を促進します。 - 患側手指がBrunnstrom法ステージⅡで適応となる。
誤り。CI療法は、麻痺側の手指である程度の能動的運動が可能な場合に適応となるため、Brunnstrom法ステージⅢ以上が対象となります。ステージⅡでは、能動的運動がほとんどないため、適応外です。
ワンポイントアドバイス
CI療法は、脳卒中後の麻痺側の機能改善に効果的ですが、適応条件として麻痺側に一定の能動的運動能力が必要です。また、患者の意欲や理解が治療効果に影響するため、適切な説明とモチベーション管理が重要です。非麻痺側を拘束する目的や方法を患者と共有することが成功の鍵です。