第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題72

立位姿勢時の重心について正しいのはどれか。

  1. 仙骨の後方にある。
  2. 閉眼すると後方に移動する。
  3. 小児は相対的に成人より足底に近い。
  4. 重心線は膝関節中心の後方1〜2cmを通る。
  5. 重心動揺面積は老年期には加齢に伴い増大する。

解答解説

正解は5.重心動揺面積は老年期には加齢に伴い増大するです。

高齢者では、加齢に伴うバランス能力の低下や筋力の衰えにより、重心動揺面積(COPの動揺範囲)が増大します。これは姿勢制御能力の低下を示す指標となります。

各選択肢の解説

  1. 仙骨の後方にある。
    誤り。立位姿勢時の重心は仙骨の前方(第2仙椎付近)にあります。後方に位置することはありません。
  2. 閉眼すると後方に移動する。
    誤り。閉眼すると視覚情報が失われるため重心動揺が増加しますが、重心が特定の方向(後方など)に移動するわけではありません。
  3. 小児は相対的に成人より足底に近い。
    誤り。小児の重心は頭部が大きいため、成人よりも重心は高く、相対的に足底から遠い位置にあります。
  4. 重心線は膝関節中心の後方1〜2cmを通る。
    誤り。重心線は膝関節中心のやや前方を通るのが正常です。
  5. 重心動揺面積は老年期には加齢に伴い増大する。
    正解。老年期には姿勢制御機能が低下し、筋力や感覚入力の減少により重心動揺面積が増大します。これは転倒リスクの増加と関連します。

ワンポイントアドバイス

姿勢と重心に関する基本を整理すると、以下のポイントが重要です:

  • 正常な重心位置:第2仙椎前方。
  • 重心線の通過位置:耳垂→肩関節→股関節→膝関節前方→足関節やや前方。
  • 加齢による影響:重心動揺増大、バランス能力低下、転倒リスク増加。

これらを覚えておくと、姿勢やバランスに関連する問題に対応しやすくなります。