精神遅滞を生じる疾患のうち、先天性代謝異常が原因であるのはどれか。
- Down症候群
- 結節性硬化症
- 神経線維腫症
- Turner症候群
- フェニルケトン尿症
解答解説
正解は5. フェニルケトン尿症です。
フェニルケトン尿症(PKU: Phenylketonuria)は、先天性代謝異常の一種で、フェニルアラニンを代謝する酵素(フェニルアラニン水酸化酵素)の欠損や機能異常が原因で発症します。フェニルアラニンが体内に蓄積すると、神経毒性を引き起こし、精神遅滞や運動発達の遅れが生じることがあります。早期に治療(低フェニルアラニン食)を開始すれば、症状の進行を防ぐことが可能です。
各選択肢の解説
- Down症候群
Down症候群は21番染色体のトリソミーによる先天性疾患で、代謝異常ではなく染色体異常が原因です。この選択肢は誤りです。 - 結節性硬化症
結節性硬化症は遺伝性疾患で、TSC1やTSC2遺伝子の変異により神経や臓器に腫瘍様の病変が形成される疾患です。代謝異常が原因ではありません。この選択肢は誤りです。 - 神経線維腫症
神経線維腫症は遺伝性疾患で、神経組織に腫瘍が形成される疾患です。遺伝子異常が原因であり、代謝異常が直接の原因ではありません。この選択肢は誤りです。 - Turner症候群
Turner症候群はX染色体の欠失による疾患で、精神遅滞を伴うことは稀です。代謝異常は原因ではありません。この選択肢は誤りです。 - フェニルケトン尿症(正解)
フェニルアラニンの代謝異常が直接の原因となり、未治療の場合は精神遅滞を引き起こします。正しい選択肢です。
ワンポイントアドバイス
フェニルケトン尿症を含む先天性代謝異常症の特徴を押さえましょう:
- 原因: 特定の酵素の欠損や異常による代謝障害。
- 例: フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症など。
- 診断: 新生児マススクリーニングで早期発見可能。
- 治療: 食事療法や代替酵素療法で症状進行を予防。
先天性代謝異常症は早期発見と介入が重要な疾患群です。精神遅滞との関連を理解しておきましょう。