急性炎症と比較した場合の慢性炎症の特徴はどれか。
- 血管内皮細胞の損傷
- 血漿蛋白の滲出
- 好中球の集積
- サイトカインの分泌
- 組織の線維化
解答解説
正解は5.組織の線維化です。
慢性炎症は、急性炎症が適切に解消されず、長期間持続する場合に発生します。主な特徴として、組織修復の過程が過剰になり、線維化が進行します。この線維化は膠原線維の増加によるもので、組織の機能を低下させる原因になります。一方、急性炎症では線維化は通常見られません。
各選択肢の解説
- 血管内皮細胞の損傷
血管内皮細胞の損傷は急性炎症で特徴的に見られる現象で、滲出や浮腫の原因となります。この選択肢は誤りです。 - 血漿蛋白の滲出
血漿蛋白の滲出は、急性炎症で血管透過性が亢進することで起こる現象です。慢性炎症では主な特徴ではありません。この選択肢は誤りです。 - 好中球の集積
好中球は急性炎症で主に活躍する細胞で、慢性炎症ではリンパ球やマクロファージが主に関与します。この選択肢は誤りです。 - サイトカインの分泌
サイトカインは急性炎症でも慢性炎症でも重要ですが、慢性炎症の特徴ではありません。これは炎症全般で見られる現象です。この選択肢は誤りです。 - 組織の線維化(正解)
慢性炎症の特徴の1つは、組織修復過程が過剰に進行して膠原線維が増生し、線維化を引き起こすことです。 この選択肢が正解です。
ワンポイントアドバイス
炎症の種類を区別するポイント:
- 急性炎症:主に好中球が関与し、血管透過性の亢進による滲出が特徴。比較的短期間で解消される。
- 慢性炎症:主にマクロファージやリンパ球が関与し、組織の線維化や肉芽形成が特徴。
慢性炎症では修復が過剰に進行し、正常組織の構造が破壊されることを理解しておきましょう。