第52回

第52回理学療法士国家試験 午後問題97

疾患と病変の組合せで正しいのはどれか。

  1. Lewy小体型認知症     白質の病変
  2. Alzheimer型認知症    アミロイドの沈着
  3. 血管性認知症       黒質の神経細胞脱落
  4. 大脳皮質基底核変性症   運動ニューロン病変
  5. 前頭側頭型認知症     大脳皮質の腫大神経細胞

解答解説

正解は2. Alzheimer型認知症 アミロイドの沈着です。

Alzheimer型認知症の主な病理所見は、脳内でのアミロイドβ(Aβ)の沈着神経原線維変化(タウタンパクの蓄積)です。これらが神経細胞にダメージを与え、認知機能が低下します。アミロイドβの沈着は、特に海馬や大脳皮質に多く見られます。

各選択肢の解説

  1. Lewy小体型認知症 白質の病変
    Lewy小体型認知症では、神経細胞内にLewy小体(異常タンパク質の蓄積)が形成されます。病変部位は主に大脳皮質や黒質であり、白質の病変ではありません。この選択肢は誤りです。
  2. Alzheimer型認知症 アミロイドの沈着(正解)
    Alzheimer型認知症の特徴的な病理所見であり、正しい選択肢です。
  3. 血管性認知症 黒質の神経細胞脱落
    血管性認知症は、脳の血流障害による梗塞や虚血が原因です。黒質の神経細胞脱落はParkinson病で見られる所見であり、血管性認知症の特徴ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 大脳皮質基底核変性症 運動ニューロン病変
    大脳皮質基底核変性症では、大脳皮質や基底核の神経細胞脱落とグリア細胞増殖が主な病理所見です。運動ニューロンの病変は筋萎縮性側索硬化症(ALS)で見られる特徴です。この選択肢は誤りです。
  5. 前頭側頭型認知症 大脳皮質の腫大神経細胞
    前頭側頭型認知症では、前頭葉や側頭葉の神経細胞脱落やグリア細胞増殖が特徴です。大脳皮質に腫大神経細胞が見られることはありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

主な認知症と病変の特徴を整理して覚えましょう:

  • Alzheimer型認知症: アミロイドβ沈着、神経原線維変化(タウタンパク)。
  • Lewy小体型認知症: Lewy小体(αシヌクレイン)の蓄積、大脳皮質と黒質の障害。
  • 血管性認知症: 血流障害(脳梗塞、虚血)。
  • 前頭側頭型認知症: 神経細胞脱落、グリア細胞増殖(前頭葉・側頭葉)。

疾患と特徴的な病変を正確に把握して、混同しないようにしましょう。