第52回

第52回理学療法士国家試験 午後問題87

家族性が孤発性よりも多いのはどれか。

  1. Parkinson病
  2. 多系統萎縮症
  3. Huntington病
  4. Lewy小体型認知症
  5. 筋萎縮性側索硬化症

解答解説

正解は3. Huntington病です。

Huntington病は、家族性に発症する常染色体優性遺伝疾患です。第4染色体のHTT遺伝子にあるCAGリピート配列の異常伸長が原因であり、運動障害(舞踏運動)、認知機能低下、精神症状を特徴とします。家族歴のある症例が圧倒的に多く、孤発性の発症は稀です。

各選択肢の解説

  1. Parkinson病
    Parkinson病は孤発性が大多数であり、家族性は少数です。一部で遺伝性が確認されていますが、全体的には家族性よりも孤発性が多い疾患です。この選択肢は誤りです。
  2. 多系統萎縮症
    多系統萎縮症(MSA)は孤発性の疾患であり、家族性の報告は極めて稀です。この選択肢は誤りです。
  3. Huntington病(正解)
    Huntington病は常染色体優性遺伝疾患であり、家族性が圧倒的に多いです。正しい選択肢です。
  4. Lewy小体型認知症
    Lewy小体型認知症は主に孤発性疾患として発症します。家族性の症例は非常に少数です。この選択肢は誤りです。
  5. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
    ALSは孤発性が多く、家族性は全体の5~10%程度に過ぎません。一部で遺伝性が確認されていますが、家族性よりも孤発性が多い疾患です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

Huntington病の特徴を理解し、他の神経変性疾患と区別しましょう:

  • 遺伝形式: 常染色体優性遺伝。
  • 原因遺伝子: 第4染色体HTT遺伝子のCAGリピート伸長。
  • 主な症状: 舞踏運動、認知症、精神症状(うつ、不安、衝動性など)。
  • 発症年齢: 中年期(30~40歳)が多い。

家族性疾患として代表的であることを押さえ、遺伝的要因が絡む疾患の分類を明確にしておきましょう。