急性心筋梗塞後の運動療法の効果として正しいのはどれか。
- 梗塞範囲の減少
- 心室破裂の減少
- 心囊液貯留の減少
- 左室駆出率の増加
- 急性期心臓死の減少
解答解説
正解は5.急性期心臓死の減少です。
運動療法は、急性心筋梗塞後のリハビリテーションにおいて、生活の質(QOL)の向上や予後改善に寄与します。特に、適切な運動療法により心肺機能が改善し、冠動脈疾患の再発や急性期心臓死のリスクを低減させる効果があります。ただし、急性期(発症直後)ではなく、回復期以降の適切な運動療法が重要です。
各選択肢の解説
- 梗塞範囲の減少
運動療法は既存の梗塞範囲を直接縮小させる効果はありません。梗塞範囲に影響を与えるのは、急性期の再灌流療法(PCIや血栓溶解療法)です。この選択肢は誤りです。 - 心室破裂の減少
心室破裂は心筋梗塞急性期の重篤な合併症であり、運動療法が直接的に関与するものではありません。この選択肢は誤りです。 - 心囊液貯留の減少
心囊液貯留は心筋梗塞後の心膜炎(Dressler症候群)に関連する症状で、運動療法とは直接関係がありません。この選択肢は誤りです。 - 左室駆出率の増加
左室駆出率(LVEF)は運動療法で間接的に改善することがありますが、心筋梗塞による損傷後の回復には個人差が大きく、直接的効果とまではいえません。この選択肢は誤りです。 - 急性期心臓死の減少(正解)
適切な運動療法を行うことで、冠動脈疾患の再発や急性期心臓死のリスクを減少させることが確認されています。 この選択肢が正解です。
ワンポイントアドバイス
急性心筋梗塞後の運動療法に関するポイント:
- 目的:心肺機能の改善、冠動脈疾患再発リスクの低下、生活の質(QOL)の向上。
- 効果:予後改善、死亡率の低下、心理的安定の促進。
- 注意:運動強度は回復段階に応じて調整(心拍数やBorg指数で管理)。
運動療法は、心血管系リハビリテーションの中心的な役割を果たすため、適切なタイミングと方法で行うことが重要です。