第52回

第52回理学療法士国家試験 午後問題86

特発性大腿骨頭壊死症について正しいのはどれか。

  1. 小児に多い。
  2. 手術適応例は少ない。
  3. 両側性病変は稀である。
  4. ステロイド薬使用者に多い。
  5. 股関節内外旋可動域は保たれる。

解答解説

正解は4. ステロイド薬使用者に多いです。

特発性大腿骨頭壊死症は、ステロイド薬の長期使用やアルコール多飲が主なリスク因子とされる疾患です。特にステロイド薬の使用者では、骨頭への血流が減少し、骨組織が壊死するリスクが高まります。

各選択肢の解説

  1. 小児に多い
    小児にみられるのは、大腿骨頭の血流障害による壊死として発生するペルテス病です。一方、特発性大腿骨頭壊死症は成人に多い疾患です。この選択肢は誤りです。
  2. 手術適応例は少ない
    壊死が進行すると、疼痛や股関節機能障害が顕著になり、関節温存手術や人工股関節置換術が適応される例が多いです。この選択肢は誤りです。
  3. 両側性病変は稀である
    特発性大腿骨頭壊死症は、両側性に発症することが少なくありません。ステロイド薬使用者やアルコール多飲者では特にその傾向が強いです。この選択肢は誤りです。
  4. ステロイド薬使用者に多い(正解)
    特発性大腿骨頭壊死症の主なリスク因子として、ステロイド薬の使用やアルコール多飲が挙げられます。正しい選択肢です。
  5. 股関節内外旋可動域は保たれる
    病変が進行すると、疼痛により股関節の可動域が制限され、特に内外旋可動域が制限されることが多いです。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

特発性大腿骨頭壊死症の特徴を押さえましょう:

  • 好発年齢: 成人、特にステロイド薬使用者やアルコール多飲者。
  • 症状: 股関節痛、可動域制限(特に内外旋)。
  • 診断: MRIで早期診断が可能。
  • 治療: 早期では保存療法、進行例では関節温存手術や人工股関節置換術。

ペルテス病との違いも重要です。ペルテス病は小児にみられるため、試験では区別が問われることがあります。