第52回理学療法士国家試験　午前問題91

中枢神経の先天奇形とその特徴の組合せで正しいのはどれか。

1. 小頭症　　　　　　　　　　　脳圧亢進
2. 滑脳症　　　　　　　　　　　脳溝増加
3. 二分脊椎　　　　　　　　　　水頭症合併
4. Dandy-Walker症候群　　　　後頭蓋縮小
5. Arnold-Chiari奇形　　　　 　脊髄の頭蓋内嵌入

解答解説

正解は3．二分脊椎：水頭症合併です。

二分脊椎（spina bifida）は、脊椎の後部要素が閉鎖不全になる疾患で、重症例では水頭症を高頻度で合併します。特に、Arnold-Chiari奇形が原因で、脳脊髄液の流れが妨げられ、水頭症が生じることが多いです。

各選択肢の解説

1. 小頭症：脳圧亢進
   小頭症は、頭蓋骨の成長が制限されて頭囲が小さくなる状態で、脳圧亢進ではなく、発達遅滞や知的障害が特徴です。この選択肢は誤りです。
2. 滑脳症：脳溝増加
   滑脳症（lissencephaly）は、脳表面の溝（脳回）が少なくなる疾患で、脳溝増加ではなく、脳溝の欠如や減少が特徴です。この選択肢は誤りです。
3. 二分脊椎：水頭症合併(正解）
   二分脊椎では、水頭症が高頻度で合併することが特徴です。 脊椎の閉鎖不全に伴う神経管異常が原因です。この選択肢が正解です。
4. Dandy-Walker症候群：後頭蓋縮小
   Dandy-Walker症候群は、後頭蓋が拡大し、小脳形成不全や第四脳室の拡大がみられる疾患です。後頭蓋縮小という記述は誤りです。この選択肢は誤りです。
5. Arnold-Chiari奇形：脊髄の頭蓋内嵌入
   Arnold-Chiari奇形では、小脳扁桃が脊柱管内に陥入することが特徴です。脊髄そのものが頭蓋内に嵌入するわけではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

中枢神経の先天奇形の特徴を整理する際、以下を覚えておくと試験対策に役立ちます：

• 二分脊椎：水頭症やArnold-Chiari奇形の合併が多い。
• 滑脳症：脳回が少ないか欠如（スムーズな脳表面）。
• Dandy-Walker症候群：後頭蓋拡大、小脳低形成。
• Arnold-Chiari奇形：小脳扁桃が脊柱管内に陥入。

それぞれの疾患の合併症や画像診断所見を押さえることで、臨床での理解も深まります。