上腕骨顆上骨折で正しいのはどれか。
- 老年期に多い。
- 原則として手術を行う。
- 外反肘を生じることが多い。
- 前腕の循環不全を生じやすい。
- 肘関節屈曲位での受傷が多い。
解答解説
正解は4. 前腕の循環不全を生じやすいです。
上腕骨顆上骨折は、小児に多くみられる骨折で、転倒時に手を突いた際の過伸展力によって発生することが多いです。この骨折では、骨片や周囲の組織が前腕の血管や神経(特に上腕動脈や正中神経)を圧迫し、循環不全や神経症状を引き起こすことがあります。適切な整復と固定が早期に行われないとフォルクマン拘縮を引き起こすリスクがあります。
各選択肢の解説
- 老年期に多い
上腕骨顆上骨折は、小児(特に5~10歳)に多くみられる骨折です。老年期に多い骨折ではありません。この選択肢は誤りです。 - 原則として手術を行う
多くの場合、整復後にギプスやスプリントでの保存療法が行われます。手術は重度の変形や神経・血管損傷が疑われる場合に限られます。この選択肢は誤りです。 - 外反肘を生じることが多い
外反肘ではなく、むしろ骨癒合後に内反肘(銃剣変形)が生じることが多いです。この選択肢は誤りです。 - 前腕の循環不全を生じやすい(正解)
上腕骨顆上骨折では、骨折部位が上腕動脈を圧迫することで前腕の循環不全が生じやすく、適切な治療が行われない場合はフォルクマン拘縮を引き起こします。正しい選択肢です。 - 肘関節屈曲位での受傷が多い
多くの場合、転倒時に肘関節が過伸展することで発生します。屈曲位での受傷は稀です。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
上腕骨顆上骨折の重要ポイント:
- 好発年齢: 小児(5~10歳)。
- 受傷機転: 転倒時の肘関節過伸展。
- 合併症: 上腕動脈損傷、正中神経損傷、フォルクマン拘縮。
- 治療法: 軽症は保存療法(整復と固定)、重症例では手術。
試験では「内反肘」「フォルクマン拘縮」など関連症状との組み合わせ問題が頻出です。骨折の病態や合併症をセットで覚えておきましょう。