第52回理学療法士国家試験　午後問題67

排便機構について正しいのはどれか。

1. 外肛門括約筋は平滑筋である。
2. 結腸壁が伸展されることで便意が生じる。
3. 内肛門括約筋を収縮させることで排便する。
4. 排便中枢は大脳皮質からの抑制を受けている。
5. 食物で胃が伸展されると大腸の蠕動運動が抑制される。

解答解説

正解は4. 排便中枢は大脳皮質からの抑制を受けているです。

排便は脊髄反射としての自律的な機能と、大脳皮質による随意的な制御が組み合わさった機構です。排便中枢は脊髄にあり、大脳皮質からの抑制を受けることで、社会的な場面などで排便を抑えることができます。

各選択肢の解説

1. 外肛門括約筋は平滑筋である
   外肛門括約筋は随意筋である骨格筋です。平滑筋ではありません。この選択肢は誤りです。
2. 結腸壁が伸展されることで便意が生じる
   便意は直腸壁が伸展されることによって生じます。結腸ではなく、直腸が重要です。この選択肢は誤りです。
3. 内肛門括約筋を収縮させることで排便する
   排便時には内肛門括約筋が弛緩し、外肛門括約筋も弛緩することで便が排出されます。収縮させるのではありません。この選択肢は誤りです。
4. 排便中枢は大脳皮質からの抑制を受けている(正解）
   排便中枢は脊髄に存在し、大脳皮質の制御により随意的に抑制されます。これにより排便のタイミングをコントロールできます。正しい選択肢です。
5. 食物で胃が伸展されると大腸の蠕動運動が抑制される
   胃が伸展されると、胃結腸反射によって大腸の蠕動運動が促進されます。抑制されるのではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

排便の生理学的機構を整理するときは、以下の点に注意してください：

• 直腸壁の伸展が便意の発生に重要。
• 内肛門括約筋（平滑筋）は自律的に弛緩、外肛門括約筋（骨格筋）は随意的に制御。
• 大脳皮質は排便中枢を抑制し、タイミングを調整可能。
• 胃結腸反射は胃の伸展による大腸蠕動運動の促進。

これらのポイントを理解すれば、排便のメカニズムに関する問題を正確に解答できます。