第52回

第52回理学療法士国家試験 午後問題23

立位で外乱による体の前方への傾きを足関節の運動で制御する際、外乱直後に最も活動する筋はどれか。

  1. 腓腹筋
  2. 大胸筋
  3. 腹直筋
  4. 前脛骨筋
  5. 大腿四頭筋

解答解説

正解は1. 腓腹筋です。

体が前方に傾いた場合、重心が前方に移動し、倒れないように姿勢を制御する必要があります。この制御は足関節を中心とした足関節戦略で行われます。体を後方に戻すために、足関節の底屈筋である腓腹筋が活動し、足関節を底屈させることで前方への倒れ込みを防ぎます。腓腹筋の迅速な反応は姿勢制御において重要な役割を果たします。

各選択肢の解説

  1. 腓腹筋(正解)
    腓腹筋は足関節の底屈を行う筋肉で、体が前方に傾いた際に重心を後方に戻すために活動します。正答です。
  2. 大胸筋
    大胸筋は上肢を制御する筋肉であり、姿勢制御には関与しません。この選択肢は不適切です。
  3. 腹直筋
    腹直筋は体幹の前屈や姿勢の安定性を補助する筋ですが、足関節戦略には直接関与しません。よって、不適切です。
  4. 前脛骨筋
    前脛骨筋は足関節の背屈を行う筋で、体が後方に傾いた際に重心を前方に戻すために活動します。体が前方に傾く場合には活動しないため、不適切です。
  5. 大腿四頭筋
    大腿四頭筋は膝関節の伸展を担う筋であり、主に膝関節を中心とした膝関節戦略において活動します。しかし、足関節戦略における前方への傾きの制御には関与しません。よって、不適切です。

ワンポイントアドバイス

姿勢制御には、足関節を中心とした足関節戦略と、膝関節や体幹を使う膝関節戦略股関節戦略があります。体が前方に傾く場合、腓腹筋の活動による足関節の底屈が主に使われます。特に軽微な外乱では足関節戦略が優先的に用いられるため、この点を理解しておきましょう。