転位のない大腿骨転子部骨折に対する観血的整復固定術後の理学療法として優先度の低いのはどれか。
- 早期からの歩行練習
- 脱臼予防肢位の指導
- 早期からのROM練習
- 大腿四頭筋の等尺性運動
- 足関節の自動的底背屈運動
解答解説
正解は2. 脱臼予防肢位の指導です。
転位のない大腿骨転子部骨折は、関節内ではなく、関節包の外側で発生する骨折であり、人工股関節置換術とは異なり、脱臼のリスクはほとんどありません。そのため、脱臼予防肢位の指導は必要性が低く、理学療法における優先度も低いです。術後のリハビリテーションでは、早期の運動や歩行訓練、血栓予防のための足関節運動が重視されます。
各選択肢の解説
- 早期からの歩行練習
大腿骨転子部骨折術後では、骨癒合を促進し、筋力やADL能力を回復するために、早期からの歩行練習が推奨されます。優先度が高い理学療法の1つです。 - 脱臼予防肢位の指導(正解)
脱臼予防肢位の指導は、人工股関節置換術後に必要となる指導です。転子部骨折術後では脱臼のリスクが低いため、優先度が低いです。正しい選択肢です。 - 早期からのROM練習
関節可動域(ROM)の維持は、拘縮予防や早期回復に重要です。早期からのROM練習は理学療法の基本であり、優先度が高いです。 - 大腿四頭筋の等尺性運動
大腿四頭筋の等尺性運動は、筋力低下や血栓症の予防に有効です。術後のリハビリでは重要な介入方法の1つであり、優先度が高いです。 - 足関節の自動的底背屈運動
足関節の底背屈運動は、下肢静脈の血流を促進し、深部静脈血栓症(DVT)を予防するために重要です。これも優先度が高いです。
ワンポイントアドバイス
転子部骨折では、術後早期のリハビリテーションが重要です。特に、血栓予防、筋力維持、ADLの回復を目指した介入が優先されます。脱臼リスクが低いことを理解し、他の整形外科疾患とリハビリ内容を区別して対応しましょう。