第52回

第52回理学療法士国家試験 午後問題33

脳卒中発症後2週間以内に生じにくい合併症はどれか。

  1. 意識障害
  2. 消化管出血
  3. 肩手症候群
  4. 摂食嚥下障害
  5. 深部静脈血栓症

解答解説

正解は3. 肩手症候群です。

肩手症候群(肩手拘縮症候群)は、脳卒中後に上肢の浮腫や痛み、関節拘縮を伴う状態で、通常、発症後数週間から数か月後に現れることが多いです。急性期(発症後2週間以内)に見られることは少なく、亜急性期以降に発症しやすい合併症です。

各選択肢の解説

  1. 意識障害
    脳卒中(特に出血性)では急性期に意識障害が頻繁に見られます。脳浮腫や出血、血流障害による影響が原因です。発症後2週間以内にもよく見られるため、この選択肢は誤りです。
  2. 消化管出血
    脳卒中後のストレス反応や治療薬(抗凝固薬、抗血小板薬)の影響で、消化管出血が急性期に発生することがあります。これも発症後2週間以内に見られる可能性が高い合併症です。この選択肢は誤りです。
  3. 肩手症候群(正解)
    肩手症候群は通常、亜急性期以降に発症します。急性期(2週間以内)には見られにくいため、正しい選択肢です。
  4. 摂食嚥下障害
    脳卒中による神経学的障害は、摂食嚥下障害を急性期に引き起こすことが多いです。特に延髄や大脳皮質の損傷が原因で、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。発症後2週間以内にもよく見られます。この選択肢は誤りです。
  5. 深部静脈血栓症
    脳卒中後の安静臥床や下肢の不動化によって、急性期に深部静脈血栓症が発生しやすくなります。血栓が肺塞栓症を引き起こすリスクがあるため、早期の予防が重要です。これも2週間以内に発生することが多い合併症です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

脳卒中急性期では、生命維持に直結する問題(意識障害や摂食嚥下障害)や安静臥床による合併症(深部静脈血栓症など)が優先されます。一方、肩手症候群などの運動器系の問題は、亜急性期以降に発症することが多いため、合併症の発症時期を意識して対策を立てることが重要です。