運動による疲労時に筋内で増えるのはどれか。2つ選べ。
- ATP
- 乳酸
- グリコーゲン
- 水素イオン(H⁺)
- クレアチンリン酸
解答解説
正解は2. 乳酸と4. 水素イオン(H⁺)です。
運動時には、筋肉がエネルギーを必要とするため、ATPを生成する代謝が活発になります。特に、無酸素運動ではグルコースやグリコーゲンが分解され、乳酸が生成されます。同時に、乳酸の蓄積に伴い、水素イオン(H⁺)が増加し、筋内の酸性度が上昇します。このpH低下が筋疲労の一因となります。
各選択肢の解説
- ATP
運動時にはATPが消費され、筋肉内のATP濃度は減少します。ATPの再合成が追いつかないと疲労を引き起こすため、増加することはありません。この選択肢は誤りです。 - 乳酸(正解)
運動中、特に無酸素運動では解糖系の活性化により乳酸が生成され、筋内に蓄積します。乳酸自体はエネルギー供給にも利用されますが、疲労の指標の1つとされます。正しい選択肢です。 - グリコーゲン
運動時にはグリコーゲンが分解されてエネルギー源として利用されます。筋内のグリコーゲン濃度は運動により減少するため、この選択肢は誤りです。 - 水素イオン(H⁺)(正解)
乳酸の生成に伴い、筋肉内で水素イオンが増加します。この水素イオンは筋肉の酸性化(pHの低下)を引き起こし、疲労の原因となります。正しい選択肢です。 - クレアチンリン酸
クレアチンリン酸はATPの再合成に利用され、短時間の運動で急速に消費されます。筋内のクレアチンリン酸濃度は運動によって減少するため、この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
運動による筋疲労では、乳酸と水素イオン(H⁺)の蓄積が筋内で確認されます。ただし、乳酸そのものが疲労の原因ではなく、代謝過程で生じる酸性化(pH低下)が主な要因とされています。運動後の回復には、乳酸の除去と酸性度の正常化が重要です。