中枢神経障害の回復機序に関するアンマスキング<unmasking>の説明として適切なのはどれか。
- 神経損傷で抑制シナプスが活動しなくなったために機能が発現する。
- 脱神経のために受容体抗体ができ興奮性を高める。
- 神経線維が脱神経領域に伸びてシナプス形成する。
- 損傷部位より下位の組織が再編成されて機能する。
- 軸索切断後、近位部から神経線維が再生する。
解答解説
正解は1.神経損傷で抑制シナプスが活動しなくなったために機能が発現するです。
アンマスキング(unmasking)とは、中枢神経障害後に未使用または抑制されていた神経回路が、損傷によって抑制が解除されることで機能するようになる現象を指します。神経回路は通常、抑制性シナプスによって使用が抑制されている部分がありますが、神経損傷後にその抑制が解除され、隠されていた機能が現れるのがアンマスキングの基本的な仕組みです。
各選択肢の解説
- 神経損傷で抑制シナプスが活動しなくなったために機能が発現する。(正解)
これがアンマスキングの正しい説明です。抑制シナプスが活動を停止することで、新たな神経回路の活動が可能となり、神経機能の回復が見られる場合があります。 - 脱神経のために受容体抗体ができ興奮性を高める。
これは、免疫系が関与する神経疾患(例:重症筋無力症)などに関連する説明であり、アンマスキングとは無関係です。 - 神経線維が脱神経領域に伸びてシナプス形成する。
これは側芽形成(sprouting)と呼ばれる別の回復機序に該当します。損傷した神経の周辺部で新しい神経線維が伸びてシナプスを形成し、機能回復を助ける現象です。 - 損傷部位より下位の組織が再編成されて機能する。
これは脊髄や大脳の再編成(リモデリング)に関連しますが、アンマスキングではなく、神経系全体の適応メカニズムの一部です。 - 軸索切断後、近位部から神経線維が再生する。
軸索再生は末梢神経の回復機序であり、アンマスキングではありません。中枢神経系では軸索再生はほとんど起こりません。
ワンポイントアドバイス
アンマスキングは、機能回復を説明する重要なメカニズムの一つであり、中枢神経障害後のリハビリテーションにおける神経可塑性の根拠となる現象です。他の回復機序(側芽形成、リモデリング、軸索再生など)との違いを理解し、試験で区別できるようにしておきましょう。