第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題36

異常歩行とその原因の組合せで正しいのはどれか。

  1. 酩酊歩行――総腓骨神経麻痺
  2. 小刻み歩行――脊柱管狭窄症
  3. 間欠性跛行――Parkinson病
  4. はさみ足歩行――脳卒中片麻痺
  5. Trendelenburg歩行――変形性股関節症

解答解説

正解は5.Trendelenburg歩行――変形性股関節症です。

Trendelenburg歩行は、股関節外転筋(中殿筋・小殿筋)の筋力低下によって、歩行時に骨盤が非荷重側に傾く歩行です。変形性股関節症では中殿筋の働きが障害されるため、Trendelenburg歩行がよくみられます。

各選択肢の解説

  1. 酩酊歩行――総腓骨神経麻痺
    誤り。酩酊歩行は、酔ったようにふらつく歩行で、主に小脳性失調が原因です。総腓骨神経麻痺では、足首や足指を背屈できないために「鶏歩(steppage gait)」がみられます。
  2. 小刻み歩行――脊柱管狭窄症
    誤り。小刻み歩行は、歩幅が狭く、足が地面に吸い付くような歩行で、Parkinson病に特徴的です。脊柱管狭窄症では、間欠性跛行が主な症状です。
  3. 間欠性跛行――Parkinson病
    誤り。間欠性跛行は、脊柱管狭窄症や末梢動脈疾患でみられる症状で、一定距離歩行すると下肢に痛みやしびれが生じ、休息後に再び歩行可能になるものです。Parkinson病の歩行は小刻み歩行が特徴です。
  4. はさみ足歩行――脳卒中片麻痺
    誤り。はさみ足歩行は、両下肢の痙性対麻痺でみられる異常歩行です。脳性麻痺や脊髄損傷に多く、脳卒中片麻痺では痙性片麻痺歩行(回旋歩行)がみられます。
  5. Trendelenburg歩行――変形性股関節症
    正解。変形性股関節症では、中殿筋や小殿筋の筋力低下により、歩行時に骨盤が非荷重側に傾くTrendelenburg歩行が典型的です。

ワンポイントアドバイス

異常歩行の原因を理解するには、歩行パターンと関与する筋・神経・関節の関係を把握することが重要です。特にTrendelenburg歩行や小刻み歩行など、代表的な異常歩行とその原因疾患を整理して覚えると、臨床での観察や試験対策に役立ちます。