第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題35

筋疲労時にみられるのはどれか。

  1. 乳酸の減少
  2. ADP濃度の増加
  3. グリコーゲンの増加
  4. 筋形質中のpHの上昇
  5. 小胞体のカルシウムイオン取り込みの増加

解答解説

正解は2.ADP濃度の増加です。

筋疲労は、エネルギー供給の低下や代謝産物の蓄積によって筋収縮能力が減少する状態です。ATPが消費されてADPが蓄積するため、筋疲労時にはADP濃度が増加します。また、ATPの再合成が追いつかなくなることでエネルギー供給不足が起こります。

各選択肢の解説

  1. 乳酸の減少
    誤り。乳酸は嫌気的代謝の結果として蓄積し、筋疲労の要因となります。乳酸は疲労時に減少するのではなく、むしろ増加します。
  2. ADP濃度の増加
    正解。ATPがエネルギー源として消費されるとADPが生成されます。筋疲労時にはATPの再合成が追いつかず、ADP濃度が増加します。
  3. グリコーゲンの増加
    誤り。グリコーゲンは筋収縮のエネルギー源として分解されるため、筋疲労時にはグリコーゲン濃度が減少します。
  4. 筋形質中のpHの上昇
    誤り。筋疲労時には乳酸などの酸性代謝産物が蓄積するため、筋形質中のpHは低下(酸性化)します。
  5. 小胞体のカルシウムイオン取り込みの増加
    誤り。筋疲労時にはカルシウムポンプの機能が低下し、小胞体へのカルシウムイオンの取り込みは減少します。これにより、筋収縮の効率が低下します。

ワンポイントアドバイス

筋疲労の原因としては、ATPの枯渇、乳酸の蓄積、pHの低下、カルシウム動態の異常が挙げられます。エネルギー代謝の仕組みや、疲労時における代謝産物の動きに注目すると正確な理解が深まります。また、筋疲労の改善には、適切な休息とエネルギー供給が必要です。