認知症をきたす疾患で脳外科的手術によって認知機能が改善する可能性があるのはどれか。2つ選べ。
- Lewy小体型認知症
- 進行性核上性麻痺
- 慢性硬膜下血腫
- Wernicke脳症
- 正常圧水頭症
解答解説
正解は3.慢性硬膜下血腫と5.正常圧水頭症です。
これらの疾患は、外科的治療が認知機能の改善に寄与することが期待できます。慢性硬膜下血腫では、血腫を除去することで脳の圧迫が解除され、症状が改善します。正常圧水頭症では、髄液シャント術(脳脊髄液の排出)により、認知機能や歩行障害などの症状が改善することがあります。
選択肢の解説
- Lewy小体型認知症
誤りです。Lewy小体型認知症は神経変性疾患であり、根本的な治療法が確立していません。外科的治療ではなく、薬物療法やリハビリテーションが主な対応となります。 - 進行性核上性麻痺
誤りです。進行性核上性麻痺は神経変性疾患の一種であり、脳外科的手術では認知機能の改善は見込めません。治療は対症療法が中心です。 - 慢性硬膜下血腫
正解です。慢性硬膜下血腫では、外科的手術(穿頭ドレナージなど)で血腫を除去することで、脳の圧迫が解除され、認知機能や運動機能が改善する可能性があります。 - Wernicke脳症
誤りです。Wernicke脳症はビタミンB1欠乏が原因で発症し、早期のビタミンB1補充が治療の鍵となります。外科的治療の適応ではありません。 - 正常圧水頭症
正解です。正常圧水頭症では、髄液シャント術(脳脊髄液を腹腔などに排出する手術)を行うことで、認知機能や歩行障害、尿失禁などの症状が改善することがあります。
ワンポイントアドバイス
脳外科的治療による改善が期待できる認知症関連疾患として、慢性硬膜下血腫と正常圧水頭症を覚えておくことは重要です。特に、正常圧水頭症の「歩行障害」「認知機能障害」「尿失禁」という三徴候を早期に見極め、適切な治療につなげることが重要です。