右股関節の可動域を表に示す。快適速度で直線路を歩行した場合に予想される特徴はどれか。
- 歩隔の増加
- 右の歩幅の減少
- 左の遊脚時間の延長
- 右立脚時の体幹の左側屈
- 左立脚時の左股関節外転角度の増加
解答解説
正解は2.右の歩幅の減少です。
右股関節の他動可動域(屈曲50度、伸展15度、外転35度、内転-10度)から、正常歩行に必要な股関節の可動域に比べて制限があることがわかります。この場合、特に屈曲と伸展の可動域制限が歩行の推進力や右下肢の前後方向の動きに影響を与え、右足の歩幅が減少することが予想されます。
各選択肢の解説
- 歩隔の増加
股関節の可動域制限により、歩幅の減少が見られるため、歩隔(左右足の間の距離)はむしろ狭くなることが一般的です。この選択肢は誤りです。 - 右の歩幅の減少(正解)
右股関節の可動域制限により、右の歩幅が狭くなることが予想されます。歩行周期の推進力を十分に得られず、右足の前進が制限されるためです。この選択肢が正解です。 - 左の遊脚時間の延長
股関節可動域制限により右立脚期が不安定になることがありますが、左の遊脚時間が延びるよりも、右の歩幅の減少や体幹の代償動作が優先的に起こります。この選択肢は誤りです。 - 右立脚時の体幹の左側屈
右股関節の可動域制限がある場合、右立脚期にはむしろ体幹の右側屈(Trendelenburg歩行)などが代償として起こる可能性が高いです。この選択肢は誤りです。 - 左立脚時の左股関節外転角度の増加
左立脚時には右側の可動域制限による代償動作が現れやすいですが、左股関節外転角度が増加するとは限りません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
歩行時に股関節可動域が制限されるときの主な特徴:
- 屈曲・伸展の制限:歩幅の減少が主に影響。
- 外転・内転の制限:体幹の傾きや側方動揺が増加。
- 全体的な歩容の変化:代償的な体幹運動や歩行速度の減少が見られる。
股関節の可動域制限が歩行に与える影響を理解することで、理学療法的介入の方向性を明確にでき、試験でも応用が利くようになります。