第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題10

65歳の女性。右膝関節の痛みを主訴に来院した。右膝関節に軽度の屈曲制限があり、右内側広筋が軽度萎縮している。歩行時に内反膝を呈し、階段昇降時に右膝関節内側の痛みを強く感じている。装具療法で適切なのはどれか。

  1. ロッカーバー
  2. トーマスヒール
  3. メタタルザルバー
  4. 外側ウェッジソール
  5. 内側ウェッジソール

解答解説

正解は 4. 外側ウェッジソール です。

この患者は、内反膝(O脚)に伴う膝関節内側の疼痛を呈しており、これは変形性膝関節症の特徴的な症状です。膝内側の荷重を軽減するためには、外側ウェッジソールを用いて、膝関節の荷重軸を外側に移動させることが有効です。

各選択肢の解説

  1. ロッカーバー
    ロッカーバーは、足底の中央部を隆起させたバー状の構造で、足関節や中足部の動きを助けるための装具です。主に足部疾患や前足部の痛みに対して使用され、膝関節痛には適しません。この選択肢は誤りです。
  2. トーマスヒール
    トーマスヒールは、足部のアーチをサポートし、足部の安定性を高めるために使用される装具です。内反膝に伴う膝関節痛の軽減には効果がありません。この選択肢は誤りです。
  3. メタタルザルバー
    メタタルザルバーは、中足骨の痛みを軽減するために足底前部を支持する装具です。膝関節の内反や荷重配分の改善には役立ちません。この選択肢は誤りです。
  4. 外側ウェッジソール(正解)
    外側ウェッジソールは、靴底の外側を高くすることで、膝の内反変形(O脚)を補正し、膝内側への荷重を減らす効果があります。内反膝による膝内側痛の軽減に最も効果的な選択肢です。
  5. 内側ウェッジソール
    内側ウェッジソールは、靴底の内側を高くすることで膝の外反変形(X脚)を補正し、膝外側への荷重を減らす効果があります。この患者のような内反膝には適しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

変形性膝関節症では、膝内側に過剰な荷重がかかることで痛みが発生しやすくなります。外側ウェッジソールを用いて荷重軸を外側に移動させることで、膝内側の負担を軽減できます。患者の歩行動作を観察しながら、装具を適切に選択することが重要です。