第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題54

温痛覚の経路はどれか。

  1. 脊髄小脳路
  2. 皮質脊髄路
  3. 前脊髄視床路
  4. 網様体脊髄路
  5. 外側脊髄視床路

解答解説

正解は「5」です。

温痛覚は、**外側脊髄視床路(lateral spinothalamic tract)**を通じて脳に伝えられます。この経路は、皮膚や組織の温度や痛みに関する情報を感覚受容器から脳へと伝達します。外側脊髄視床路は、脊髄後角で交叉した後、対側の外側索を上行して視床に到達し、そこから大脳皮質の一次体性感覚野に投射されます。

選択肢ごとの解説

  1. 脊髄小脳路
    脊髄小脳路は、筋紡錘や腱受容器からの無意識的な深部感覚を小脳に伝える経路です。温痛覚には関与しません。
  2. 皮質脊髄路
    皮質脊髄路は、運動指令を脊髄に送る運動経路です。感覚情報の伝達には関与しません。
  3. 前脊髄視床路
    前脊髄視床路は、粗大な触覚や圧覚の伝達に関与しますが、温痛覚の伝達には関与しません。
  4. 網様体脊髄路
    網様体脊髄路は、姿勢制御や運動調整に関連する経路であり、温痛覚には関与しません。
  5. 外側脊髄視床路
    正解です。 温痛覚の伝達を担う経路で、脊髄で交叉し対側を上行します。

ワンポイントアドバイス

温痛覚は外側脊髄視床路を通り、触覚や圧覚は前脊髄視床路を通ります。この2つの経路はまとめて脊髄視床路と呼ばれることがあります。試験では、それぞれの経路が伝達する感覚を区別して覚えておきましょう。