第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題14

10歳の男児。二分脊椎。杖歩行が可能であり歩行時の様子を図に示す。予測される残存レベルはどれか。

  1. 第10胸髄
  2. 第12胸髄
  3. 第2腰髄
  4. 第4腰髄
  5. 第1仙髄

解答解説

正解は3.第2腰髄です。
杖を使用し、膝足継手付き短下肢装具を装着して歩行している様子から、下肢筋力に大きな制限がありながらも、股関節屈筋の活動が残存していると考えられます。このような歩行機能は、第2腰髄(L2)レベルの残存機能と一致します。L2レベルでは、腸腰筋の筋力がある程度残っているため、装具と杖を使用すれば歩行が可能です。

各選択肢の解説

  1. 第10胸髄
    誤り。このレベルの損傷では、下肢筋力がほとんど失われるため、装具と杖を用いた歩行は非常に困難です。主に上肢と体幹の筋力を利用した座位移動や車椅子が必要となります。
  2. 第12胸髄
    誤り。第12胸髄(T12)レベルでは腹筋と一部の体幹筋が機能しますが、股関節屈筋の筋力が不十分であり、歩行能力を補助するにはさらに高いレベルの支援が必要です。
  3. 第2腰髄
    正解。第2腰髄(L2)レベルでは、股関節屈筋(腸腰筋)の活動が残存しており、適切な装具や杖を使用することで歩行が可能です。図に示される歩行方法は、このレベルの神経支配と一致します。
  4. 第4腰髄
    誤り。このレベルでは、大腿四頭筋や一部の下腿筋が十分に機能するため、より軽い装具で歩行が可能となります。図のように膝足継手付き装具が必要な状態ではありません。
  5. 第1仙髄
    誤り。第1仙髄(S1)レベルでは、下腿三頭筋などの筋力も残存しているため、独立歩行が可能な場合が多く、杖や膝足継手付き装具は必要ありません。

ワンポイントアドバイス

二分脊椎患者の歩行能力は、残存神経レベルと筋力に強く依存します。L2レベルでは股関節屈筋が機能するため、装具と杖を利用すれば歩行が可能ですが、膝や足関節のサポートが必須です。残存機能を評価する際には、主要筋群の神経支配レベルを把握することが重要です。