成人に対する喀痰の吸引について適切なのはどれか。
- 理学療法士は行わない。
- 吸引圧は最大で20kPaとする。
- 回の吸引は20秒以上かけて行う。
- 吸引カテーテルは気管分岐部まで挿入する。
- 吸引カテーテルは吸引圧をかけながら素早く挿入する。
解答解説
正解は2.吸引圧は最大で20kPaとするです。
成人に対する喀痰吸引の適切な吸引圧は、通常20kPa(約150mmHg)以下とされています。これ以上の吸引圧を使用すると、気道粘膜を損傷するリスクがあります。他の選択肢には不適切な手技や行為が含まれています。
選択肢の解説
- 理学療法士は行わない。
誤りです。理学療法士は一定の条件下で喀痰吸引を行うことができます。日本では、医師の指示のもと「特定行為研修」を修了した理学療法士が適切な教育と訓練を受けている場合に、喀痰吸引を実施できます。 - 吸引圧は最大で20kPaとする。
正解です。成人の吸引圧は、最大で20kPa(150mmHg)以下が推奨されます。高すぎる吸引圧は気道の損傷や粘膜刺激のリスクを高めるため、適切な吸引圧の設定が重要です。 - 回の吸引は20秒以上かけて行う。
誤りです。1回の吸引は10秒以内に留めるのが適切です。それ以上の長時間の吸引は、酸素飽和度の低下や患者への負担が増える原因となります。 - 吸引カテーテルは気管分岐部まで挿入する。
誤りです。吸引カテーテルは、気管分岐部(気管支の分岐点)まで挿入するのではなく、痰が存在する部位までに留めるのが適切です。過剰な挿入は気道損傷や出血を引き起こす可能性があります。 - 吸引カテーテルは吸引圧をかけながら素早く挿入する。
誤りです。吸引圧をかけながら挿入すると、気道粘膜を傷つける恐れがあります。挿入時は吸引圧をかけず、目的の位置に到達してから吸引を開始します。
ワンポイントアドバイス
喀痰吸引の安全性を確保するために、吸引圧や吸引時間、カテーテルの挿入方法を守ることが重要です。また、適切な手技を行うためには、十分な教育と実技練習を受ける必要があります。特に理学療法士は、患者の状況を総合的に判断しながら安全な吸引を実施しましょう。