第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題20

78歳の女性。左片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅲ、手指Ⅲ及び下肢Ⅳ。高次脳機能障害あり。要介護2。娘と2人暮らしであるが、日中、自宅で1人で過ごす時間があるため、回復期リハビリテーション病棟退院後、通所リハビリテーションを受けることとなった。通所リハビリテーションの目標として優先順位が低いのはどれか。

  1. 家事動作の自立
  2. 着衣動作の自立
  3. 歩行能力の改善
  4. 排泄動作の自立
  5. 立位保持能力の改善

解答解説

正解は1.家事動作の自立です。
この患者は、左片麻痺高次脳機能障害があり、Brunnstrom法ステージや要介護度から、基本的な日常生活動作(ADL)の自立が重要な課題であると考えられます。家事動作の自立は生活の質向上には寄与しますが、排泄動作や着衣動作などの基本的なADLに比べると優先順位は低いと判断されます。

各選択肢の解説

  1. 家事動作の自立
    正解。家事動作の自立は重要な目標の一つですが、ADLとしての優先順位は低く、排泄や着衣などの基本的な動作が自立してからの課題とされます。患者の安全と日常生活の基盤を整えることが優先されるため、この時点では低い優先順位といえます。
  2. 着衣動作の自立
    誤り。着衣動作の自立は、患者が1人で過ごす時間があることを考慮すると重要です。左片麻痺の状態で自立した着衣ができるようになることは、患者のQOL向上や安全性の確保に直結します。
  3. 歩行能力の改善
    誤り。歩行能力の改善は、Brunnstrom法ステージ下肢Ⅳの状態から考えても現実的な目標であり、ADL全般を支える基本動作の改善につながります。転倒リスクの軽減のためにも優先されます。
  4. 排泄動作の自立
    誤り。排泄動作の自立は、患者の日常生活の安全性やプライバシーを確保するために最優先とされるべき目標です。自宅で1人で過ごす時間があるため、特に重要です。
  5. 立位保持能力の改善
    誤り。立位保持能力の改善は、歩行能力の向上やADLの自立を達成する基盤となるため、優先順位が高いです。特に片麻痺のある患者においては、安定した立位保持が転倒予防や安全な動作に直結します。

ワンポイントアドバイス

通所リハビリテーションの目標設定では、基本的なADLの自立が最優先事項です。排泄や着衣、歩行能力の改善を中心に、患者の安全性や生活の基盤を整えることを重視しましょう。家事動作のような複雑な活動は、基本動作が確立した後の目標として位置付けることが適切です。