第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題18

50歳の男性。閉塞性動脈硬化症。300m程度の歩行ごとに下肢の痛みのために5〜6分の休息をとる。座位や立位時に痛むことはない。理学療法で適切なのはどれか。

  1. 寒冷療法
  2. 極超短波療法
  3. トレッドミル歩行練習
  4. PNFによる最大抵抗運動
  5. 弾性ストッキングによる圧迫療法

解答解説

正解は3.トレッドミル歩行練習です。
閉塞性動脈硬化症(ASO)の理学療法では、血流改善を目的としたトレッドミル歩行練習が推奨されます。間欠性跛行の患者に対して、歩行練習は側副血行路の発達を促進し、最大歩行距離や痛みの閾値を向上させる効果があります。無理のない範囲で間欠的に歩行を行い、痛みが強くなったら休息を挟む方法を繰り返すのが適切です。

各選択肢の解説

  1. 寒冷療法
    誤り。寒冷療法は血管を収縮させる作用があるため、末梢血流障害を有する閉塞性動脈硬化症には適しません。むしろ末梢血流を悪化させる可能性があります。
  2. 極超短波療法
    誤り。極超短波療法は、温熱効果によって血流改善を図る方法ですが、閉塞性動脈硬化症における主な症状である間欠性跛行の改善には直接的な効果は期待できません。
  3. トレッドミル歩行練習
    正解。トレッドミル歩行練習は、血流を増加させることで側副血行路の形成を促進し、歩行能力の向上を目指します。間欠的に負荷をかけることで効果的な治療が可能です。
  4. PNFによる最大抵抗運動
    誤り。PNF(固有受容性神経筋促通法)は筋力強化や運動制御の改善を目的としていますが、末梢血流障害には適応がなく、閉塞性動脈硬化症の治療には不適切です。
  5. 弾性ストッキングによる圧迫療法
    誤り。弾性ストッキングは静脈性疾患(例:静脈瘤や下肢静脈血栓症)に有効ですが、動脈系の血流障害には使用すべきではありません。動脈血流をさらに制限する可能性があります。

ワンポイントアドバイス

閉塞性動脈硬化症の治療では、間欠的運動療法(トレッドミル歩行練習など)が推奨されます。運動は、側副血行路の発達を促し、歩行能力を改善します。患者の症状に応じた休息を取り入れながら、無理のない範囲で継続することが効果的です。