第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題10

52歳の女性。関節リウマチ。発症して17年が経過している。手指関節に痛みを訴えており、図のような変形がみられる。手指に対する最も適切な物理療法はどれか。

  1. 超音波
  2. 遠赤外線
  3. 極超短波
  4. パラフィン浴
  5. ホットパック

解答解説

正解は4.パラフィン浴です。

関節リウマチにおける手指関節の慢性的な痛みやこわばりの緩和には、パラフィン浴が最も適しています。パラフィン浴は、関節の周囲の血流を改善し、柔軟性を向上させる温熱療法の一種で、特に手指などの細かい部位に適した方法です。

各選択肢の解説

  1. 超音波
    誤り。超音波は深部組織の温熱療法として有効ですが、手指のように小さな関節や骨が多い部位には向いていません。また、変形が進行した関節リウマチのケースでは、深部の刺激が症状を悪化させる可能性もあります。
  2. 遠赤外線
    誤り。遠赤外線療法は表面の加温には有効ですが、手指関節の深部の血流改善やこわばりの緩和には不十分です。効果は限定的であり、より適切なパラフィン浴のほうが推奨されます。
  3. 極超短波
    誤り。極超短波療法は深部の温熱療法ですが、手指のような細かい部位では熱の分布が不均一になりやすく、適用には向きません。特にリウマチ患者では使用に注意が必要です。
  4. パラフィン浴
    正解。パラフィン浴は、手指関節の温熱療法として最適です。温かいパラフィンで手を包み込むことで、関節の痛みを緩和し、こわばりを軽減します。特に慢性の痛みや拘縮に対して効果的です。
  5. ホットパック
    誤り。ホットパックは表面の広い部位の温熱療法に適していますが、手指のような狭い部位には効果が限定的です。また、均一に熱を与えるのが難しいため、手指関節には適していません。

ワンポイントアドバイス

関節リウマチの慢性的な痛みやこわばりには、温熱療法が有効です。特に手指のような小さな関節には、パラフィン浴が適切で、関節を包み込むように熱を均一に与えられるため効果的です。物理療法の適応を考える際は、部位や症状に応じた方法を選択することが重要です。