第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題8

イラストのように Daniels らの徒手筋力テストを実施した。


正しいのはどれか。

1. 骨盤を後傾させて行う。
2. 検査対象は縫工筋である。
3. 対象筋の段階 2 のテストは背臥位で行う。
4. 検査者が抵抗を加える部位は大腿遠位部である。
5. 股関節外転外旋を伴った際は大腿筋膜張筋の代償を疑う。

解答解説

正解は 4. 検査者が抵抗を加える部位は大腿遠位部である です。

解説

この図は、**膝関節伸展筋力(主に大腿四頭筋)**を評価するための徒手筋力テストを示しています。膝関節伸展筋力テストでは、**検査者が抵抗を加える位置は大腿遠位部(膝のすぐ上の大腿部)**とするのが基本です。こうすることで、膝関節伸展筋の力を適切に評価できます。

各選択肢の解説

  1. 骨盤を後傾させて行う
    骨盤を後傾させる必要はなく、通常は安定した座位姿勢で実施します。骨盤は自然な位置で保持するため、この選択肢は誤りです。
  2. 検査対象は縫工筋である
    このテストの主な対象筋は腸腰筋です。縫工筋は股関節の屈曲や外旋、外転に関与する筋であり、膝関節の伸展の主動作筋ではないため、誤りです。
  3. 対象筋の段階 2 のテストは背臥位で行う
    筋力段階が2(重力を除いた動き)の場合、膝関節伸展のテストは側臥位で行うのが一般的です。背臥位ではなく側臥位で重力を除去した状態で行うため、誤りです。
  4. 検査者が抵抗を加える部位は大腿遠位部である
    正解です。膝関節伸展の徒手筋力テストでは、大腿四頭筋の力を評価するために大腿遠位部に抵抗を加えます。大腿遠位部に抵抗を加えることで、膝関節の伸展力が適切に測定されます。
  5. 股関節外転外旋を伴った際は大腿筋膜張筋の代償を疑う
    股関節外転・外旋が加わる場合は、縫工筋の代償が考えられます。大腿筋膜張筋の代償は、股関節屈曲と内旋が見られるときに疑われるため、この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

徒手筋力テストでは、抵抗を加える位置が筋の評価に大きく影響します。特に膝関節伸展のテストでは、大腿遠位部に抵抗を加えることで、大腿四頭筋の筋力を正確に評価できます。また、代償動作が起こりやすい動作には注意が必要です。