第52回

第52回理学療法士国家試験 午前問題96

双極性障害と比較した場合のうつ病の特徴はどれか。

  1. 有病率が低い。
  2. 平均初発年齢が低い。
  3. 有病率の男女差が小さい。
  4. 一卵性双生児の罹患一致率が低い。
  5. 状況要因が誘因となって発症することが少ない。

解答解説

正解は4.一卵性双生児の罹患一致率が低いです。

うつ病双極性障害の特徴を比較すると、双極性障害は遺伝的要因の影響が大きく、一卵性双生児での罹患一致率が高いことが知られています。一方、うつ病も遺伝的要因はありますが、双極性障害に比べると一致率が低く、環境要因が関与する割合が相対的に大きいとされています。

各選択肢の解説

  1. 有病率が低い。
    うつ病の有病率は、双極性障害よりも高いです。うつ病は人口の約15%が一生のうちに経験するとされており、双極性障害(約1~2%)よりも一般的です。この選択肢は誤りです。
  2. 平均初発年齢が低い。
    双極性障害は10代後半から20代の若年層で初発することが多い一方、うつ病の平均初発年齢は30代後半とされます。この選択肢は誤りです。
  3. 有病率の男女差が小さい。
    双極性障害は男女差がほとんどありませんが、うつ病は女性の有病率が男性の約2倍とされています。この選択肢は誤りです。
  4. 一卵性双生児の罹患一致率が低い。(正解)
    双極性障害の一卵性双生児の罹患一致率は70%程度とされるのに対し、うつ病は40~50%と低いです。遺伝的要因の関与が少ないという点で、うつ病の特徴です。この選択肢が正解です。
  5. 状況要因が誘因となって発症することが少ない。
    うつ病は状況要因(職場のストレス、家庭問題など)が大きく関与することが多く、双極性障害に比べて環境要因が発症に関与しやすい疾患です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

うつ病と双極性障害を区別する際のポイント:

  • うつ病:環境要因の影響が大きい、女性に多い、初発年齢は中年期以降。
  • 双極性障害:遺伝要因の影響が大きい、男女差がない、初発年齢は若年層が多い。

遺伝的要因や初発年齢、環境要因との関係を明確に把握することが、試験対策や臨床での理解に役立ちます。