第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題88

変形性股関節症で正しいのはどれか。

  1. 発症は遺伝の影響を受けない。
  2. 有病率は女性より男性が高い。
  3. 一次性の頻度は二次性より高い。
  4. 変形性膝関節症の合併リスクは低い。
  5. 重量物作業を伴う職業は発症のリスク要因である。

解答解説

正解は 5.重量物作業を伴う職業は発症のリスク要因である です。

変形性股関節症は、関節軟骨の変性や摩耗により、股関節の痛みや可動域制限を引き起こす疾患です。その発症には、構造的要因(例:寛骨臼形成不全や先天性股関節脱臼)、加齢、肥満、職業や運動習慣などが関与しています。以下、それぞれの選択肢を詳しく解説します。

各選択肢の解説

  1. 発症は遺伝の影響を受けない
    遺伝的要因は、変形性股関節症の発症に大きく関与します。日本では、寛骨臼形成不全(骨盤の臼蓋が浅い先天的な形状異常)が原因となる二次性の変形性股関節症が多く、これには遺伝の影響があることが知られています。この選択肢は誤りです。
  2. 有病率は女性より男性が高い
    変形性股関節症の有病率は女性に多いことが特徴です。特に、寛骨臼形成不全が女性に多く見られるため、結果として女性の有病率が男性より高くなります。この選択肢は誤りです。
  3. 一次性の頻度は二次性より高い
    日本においては、寛骨臼形成不全や先天性股関節脱臼などを原因とする二次性の変形性股関節症がほとんどを占めます。一次性(原因が明確ではないもの)は欧米に多く、日本では頻度が低いです。この選択肢は誤りです。
  4. 変形性膝関節症の合併リスクは低い
    変形性股関節症と変形性膝関節症は、加齢や体重増加などの共通のリスク因子を背景に発生することが多いため、両者が合併するリスクは高いです。この選択肢は誤りです。
  5. 重量物作業を伴う職業は発症のリスク要因である
    重量物作業は股関節への過剰な負荷をもたらし、変形性股関節症のリスクを高める要因です。特に長時間の立位作業や重労働を伴う職業は、股関節の軟骨の摩耗を促進する可能性があります。この選択肢が正しいです。

ワンポイントアドバイス

変形性股関節症の診断や予防には、一次性と二次性の区別が重要です。日本では二次性が多く、特に寛骨臼形成不全が主な原因となります。また、体重管理や職業による負担軽減が予防策として重要です。変形性股関節症と膝関節症が合併しやすいことも試験対策のポイントとして押さえておきましょう。