第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題3

45歳男性の足底のしびれと痛み、母指外転筋の筋萎縮に関連する内果下方で陽性となる検査はどれか。

  1. Silfverskiöld test
  2. Single heel rising test
  3. Thompson test
  4. Tinel sign
  5. Too many toes sign

解答解説

正解は 4. Tinel sign です。

症状と検査の関連性

患者は足底のしびれや痛み、母指外転筋(正中神経支配)の筋萎縮を呈しており、これは足根管症候群を示唆します。足根管症候群は、内果下方にある足根管で後脛骨神経が圧迫されることで発症します。この場合、**Tinel sign(ティネル徴候)**が陽性となるのが特徴です。

各選択肢の解説

  1. Silfverskiöld test
    この検査はアキレス腱の緊張を評価するテストで、特に下腿三頭筋の緊張が原因で足関節の背屈制限があるかを調べます。足根管症候群とは直接関係がありません。
  2. Single heel rising test
    片足立ちで踵を上げるテストで、後脛骨筋の機能を評価します。足底の筋力低下や足アーチの維持機能を確認するために用いられますが、足根管症候群特有のテストではありません。
  3. Thompson test
    この検査はアキレス腱断裂の評価に用います。患者のふくらはぎをつかむと足関節が底屈しない場合、アキレス腱断裂が疑われます。足根管症候群とは無関係です。
  4. Tinel sign(正解)
    Tinel徴候は、神経が圧迫や損傷を受けている部位を軽く叩くと、その神経の支配領域に放散痛やしびれが生じる現象です。足根管症候群では、内果下方で後脛骨神経を叩くと足底に痛みやしびれが放散するため、この検査が適切です。
  5. Too many toes sign
    この検査は後脛骨筋機能不全症(足部の過回内や偏平足)を評価する際に用います。足根管症候群とは関係がありません。

ワンポイントアドバイス

足根管症候群では、Tinel signが陽性となることが特徴です。この疾患は、後脛骨神経の圧迫による神経症状(足底のしびれ、痛み、筋力低下)が主訴となります。また、母指外転筋の筋力低下や萎縮が進行した場合には、運動機能の評価も重要です。内果下方の解剖学的構造を理解し、適切な診断検査を選択できるようにしましょう。