第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題100

全般的な知能に大きな低下はなく、文字を読めば分かるが書くことができない。このような症状がみられるのはどれか。

  1. 学習障害
  2. 行為障害
  3. 広汎性発達障害
  4. Tourette 症候群
  5. 注意欠如・多動性障害

解答解説

正解は1.学習障害です。

学習障害(LD: Learning Disability)は、全般的な知能に問題はないにもかかわらず、特定の学習分野において著しい困難を示す発達障害です。この場合、「文字を読めば分かるが書くことができない」という症状は、特に書字障害(Dysgraphia)と呼ばれるLDの一つの特徴です。他の分野には問題がなくても、書く能力に特化した障害がみられる場合があります。

選択肢の解説

  1. 学習障害
    正解です。学習障害は知的障害ではなく、特定の学習分野(読む、書く、計算するなど)に限定した困難が特徴です。この問題では「文字を読めば分かるが書けない」という書字障害が該当します。
  2. 行為障害
    誤りです。行為障害は、反社会的な行動やルール違反が特徴であり、学習に関連する能力の特異的な障害ではありません。
  3. 広汎性発達障害
    誤りです。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症を含む)は、コミュニケーションや社会性の発達に広範囲で困難がみられる障害です。書字能力に限定した問題とは異なります。
  4. Tourette 症候群
    誤りです。Tourette症候群は、音声チックや運動チックが主な症状です。書字能力に特化した障害は説明できません。
  5. 注意欠如・多動性障害
    誤りです。注意欠如・多動性障害(ADHD)は注意の持続困難や衝動性、多動が特徴であり、学習障害とは異なります。ただし、ADHDの患者に学習障害が併存する場合もあります。

ワンポイントアドバイス

学習障害は、「読む(読字障害)」「書く(書字障害)」「計算する(算数障害)」といった特定の学習分野に限定される困難が特徴です。全般的な知能に問題がないことがポイントであり、個別の症状を正確に理解することが重要です。他の発達障害と併存する場合もあるため、併発を考慮した理解も必要です。