慢性腎不全患者に対する運動療法として正しいのはどれか。
- 運動によって腎血流は増加する。
- 血液透析日にも運動療法が行われる。
- 運動療法によって糸球体濾過量が改善する。
- 下肢の浮腫には起立台での起立練習が有効である。
- 病期分類ステージ5の症例では5〜6METsの運動が適応となる。
解答解説
正解は2.血液透析日にも運動療法が行われるです。
慢性腎不全患者における運動療法は、体力維持や生活の質(QOL)の向上を目的として実施されます。透析中や透析直後の運動療法は、患者への負担を軽減しつつ筋力や体力を維持する効果が期待され、広く行われています。特に透析中に軽いエルゴメーター運動や下肢の運動を行うことが推奨されています。
各選択肢の解説
- 運動によって腎血流は増加する。
運動は腎臓への血流を減少させる場合が多く、特に激しい運動では腎血流が制限されます。適度な運動で全身の血流改善が期待できますが、腎血流が増加することはありません。この選択肢は誤りです。 - 血液透析日にも運動療法が行われる。(正解)
透析中の運動療法(インターダイアリティックエクササイズ)は、筋力の維持や廃用性筋萎縮の予防に有効です。 血圧や電解質バランスを確認しながら実施することが推奨されており、この選択肢が正解です。 - 運動療法によって糸球体濾過量が改善する。
糸球体濾過量(GFR)は慢性腎不全の病期を示す指標ですが、運動療法によって直接的に改善することはありません。この選択肢は誤りです。 - 下肢の浮腫には起立台での起立練習が有効である。
下肢浮腫に対しては、重力による血液の下肢へのうっ滞を防ぐため、仰臥位での運動や下肢挙上が推奨されます。起立台での起立練習は浮腫を悪化させる可能性があるため適切ではありません。この選択肢は誤りです。 - 病期分類ステージ5の症例では5〜6METsの運動が適応となる。
ステージ5(末期腎不全)では、運動強度は通常3METs程度以下に制限されます。5〜6METsは中等度以上の負荷に相当し、適応外です。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
慢性腎不全患者への運動療法では、安全性を重視した低〜中強度の運動が基本です。透析患者では透析中や直後の軽い運動が効果的とされますが、個別の症状や体調を考慮する必要があります。適切な運動負荷の設定と合併症リスクへの配慮を覚えておきましょう。