突然の左不全片麻痺を呈して搬送された患者の発症後時間の頭部MRIの拡散強調像(別冊No. 6)を別に示す。最も考えられるのはどれか。
- 脳出血
- 脳梗塞
- 脳腫瘍
- 脳動静脈瘻
- くも膜下出血
解答解説
正解は2.脳梗塞です。
頭部MRIの拡散強調像(DWI: Diffusion-Weighted Imaging)は、脳梗塞の急性期病変を検出するのに非常に有用です。画像では、右大脳半球に高信号域が確認でき、これは新鮮な脳梗塞を示唆しています。急性期脳梗塞では、細胞の浮腫により拡散が制限され、このような高信号所見が現れます。また、左不全片麻痺は右大脳半球の病変に一致する症状であり、この所見から脳梗塞が最も考えられます。
選択肢の解説
- 脳出血
誤りです。脳出血の場合、急性期ではCTで高吸収域として描出されますが、MRIの拡散強調像では通常高信号として現れません。また、MRIではT2*(またはSWI)で血腫の低信号が確認されることが一般的です。 - 脳梗塞
正解です。急性期脳梗塞では、拡散制限によりDWIで高信号域が確認されます。この画像所見と左不全片麻痺という症状が一致するため、脳梗塞が最も考えられます。 - 脳腫瘍
誤りです。脳腫瘍は拡散強調像で明瞭な高信号を呈することは少なく、造影MRIやT1/T2強調画像で腫瘍性病変が確認されることが多いです。また、突然の発症という点でも脳腫瘍は考えにくいです。 - 脳動静脈瘻
誤りです。脳動静脈瘻は異常血管のシャントに関連する疾患で、DWIで直接的な病変として検出されることはありません。診断にはMRAやDSA(血管造影)が必要です。 - くも膜下出血
誤りです。くも膜下出血では、CTでくも膜下腔に高吸収域がみられることが特徴です。DWIで高信号域が確認されることはなく、この画像所見と一致しません。
ワンポイントアドバイス
急性期脳梗塞では、MRIの拡散強調像(DWI)で高信号域が認められることが最も特徴的です。また、脳出血やくも膜下出血など他の急性疾患の鑑別にはCTやT2*画像の知識も重要です。臨床症状と画像所見を組み合わせて、適切な診断を行う練習をしておきましょう。