第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題57

上大静脈と下大静脈とを結ぶ静脈はどれか。

  1. 奇静脈
  2. 腎静脈
  3. 脾静脈
  4. 鎖骨下静脈
  5. 上腸管膜静脈

解答解説

正解は1.奇静脈です。

奇静脈(Azygos vein)は、胸部の後縦隔を走行し、下大静脈からの血液を上大静脈に流入させる重要な静脈です。奇静脈系は、上下の大静脈を連絡する唯一の経路であり、血液循環を補助する役割を果たします。また、下大静脈が閉塞した際の代償路としても機能します。

選択肢の解説

  1. 奇静脈
    正解です。奇静脈は胸部右側を走行し、下大静脈から受け取った血液を上大静脈に流します。また、下大静脈や上大静脈が閉塞した際には、重要な側副路として機能します。
  2. 腎静脈
    誤りです。腎静脈(Renal vein)は腎臓からの血液を下大静脈に戻す静脈です。上大静脈との直接的な連絡はありません。
  3. 脾静脈
    誤りです。脾静脈(Splenic vein)は門脈系の一部であり、主に消化器からの血液を肝臓へ運ぶ役割を果たします。上下の大静脈と直接の関係はありません。
  4. 鎖骨下静脈
    誤りです。鎖骨下静脈(Subclavian vein)は上肢からの血液を上大静脈に流入させますが、下大静脈との直接的な連絡はありません。
  5. 上腸管膜静脈
    誤りです。上腸管膜静脈(Superior mesenteric vein)は消化管の血液を門脈に運ぶ静脈です。門脈系に属し、上下の大静脈と直接の連絡はありません。

ワンポイントアドバイス

奇静脈は、胸部の静脈血を集めるだけでなく、上大静脈と下大静脈を結ぶ重要な側副路を形成します。奇静脈系の役割と走行を正確に理解しておくことで、胸部や血流に関する問題に対応しやすくなります。