食道静脈瘤について正しいのはどれか。
- 食道の中下部に好発する。
- 吐血はコーヒー残渣様である。
- 門脈圧の低下が原因で形成される。
- 治療は食道離断術が第一選択である。
- 初期のものは内視鏡で観察すると赤色にみえる。
解答解説
正解は1.食道の中下部に好発するです。
食道静脈瘤は、門脈圧亢進症(肝硬変などが原因)によって食道の中下部の静脈が拡張し、形成されます。これらの部位は、静脈圧が高くなることで破裂のリスクが高まり、吐血などの重篤な症状を引き起こすことがあります。他の選択肢は誤りまたは不正確です。
選択肢の解説
- 食道の中下部に好発する。
正解です。食道静脈瘤は、食道の中下部にある静脈叢が拡張したもので、門脈圧亢進によって生じます。特に下部食道が最も多く影響を受けます。 - 吐血はコーヒー残渣様である。
誤りです。食道静脈瘤破裂による吐血は新鮮な赤色血が特徴的です。一方、コーヒー残渣様吐血は、胃で酸化された血液によるものであり、胃潰瘍や胃癌などで見られることが多いです。 - 門脈圧の低下が原因で形成される。
誤りです。食道静脈瘤は門脈圧亢進が原因で形成されます。門脈圧が高まると、血液は側副路を通じて食道静脈に流れ込み、静脈瘤が形成されます。 - 治療は食道離断術が第一選択である。
誤りです。食道静脈瘤の治療は、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)が第一選択です。出血を予防または止血するために用いられます。外科的治療(食道離断術)は最終的な手段として行われることがあります。 - 初期のものは内視鏡で観察すると赤色にみえる。
誤りです。初期の食道静脈瘤は通常青白い色をしており、内視鏡で見える赤色所見(red sign)は出血リスクの高い進行した静脈瘤に特徴的です。
ワンポイントアドバイス
食道静脈瘤は門脈圧亢進の代表的な合併症です。好発部位(食道下部)、原因(門脈圧亢進)、吐血の特徴(新鮮な赤色血)、治療法(内視鏡的静脈瘤結紮術)を理解しておくことが重要です。また、red signの所見は臨床での危険因子として覚えておきましょう。