アルコール性肝障害について正しいのはどれか。
- アルコール性肝炎は自覚症状に乏しい。
- アルコール性脂肪肝では腹痛がみられる。
- アルコール積算飲酒量と肝障害の発症率は無関係である。
- アルコール性肝硬変では断酒を続けても組織病変は正常化しない。
- アルコール性肝硬変では肝細胞癌の発症率が健常者の3倍以上である。
解答解説
正解は4.アルコール性肝硬変では断酒を続けても組織病変は正常化しないです。
アルコール性肝硬変は肝臓の不可逆的な線維化を特徴とする状態です。断酒を続けることで病変の進行は止まりますが、一度形成された線維化や肝硬変は正常な肝組織に戻ることはありません。ただし、断酒により予後を改善する可能性があります。
選択肢の解説
- アルコール性肝炎は自覚症状に乏しい。
誤りです。アルコール性肝炎はしばしば急性発症し、発熱、黄疸、腹部痛、倦怠感などの明確な自覚症状を伴うことがあります。 - アルコール性脂肪肝では腹痛がみられる。
誤りです。アルコール性脂肪肝は通常無症状であり、自覚症状に乏しいことが一般的です。進行すると肝硬変や肝炎に移行する可能性がありますが、脂肪肝自体で腹痛は通常見られません。 - アルコール積算飲酒量と肝障害の発症率は無関係である。
誤りです。アルコールの積算飲酒量(飲酒量と期間を合わせた量)は、肝障害の発症率と強い相関があります。長期的な過剰飲酒は肝障害を引き起こす主要因です。 - アルコール性肝硬変では断酒を続けても組織病変は正常化しない。
正解です。一度進行した肝硬変は不可逆的な線維化を伴い、組織病変が正常化することはありません。しかし、断酒を続けることで病変の進行を抑制し、予後を改善することが可能です。 - アルコール性肝硬変では肝細胞癌の発症率が健常者の3倍以上である。
誤りです。アルコール性肝硬変では肝細胞癌のリスクは確かに増加しますが、これはC型肝炎ウイルス感染などの他の因子の影響を受ける場合もあります。「健常者の3倍以上」という記述は一概に正確ではありません。
ワンポイントアドバイス
アルコール性肝障害は、脂肪肝から肝炎、肝硬変へと進行することが多く、断酒が最も重要な治療法です。一度進行した肝硬変の不可逆性や、積算飲酒量との相関関係を理解しておくことで、臨床における評価や治療方針を考える際に役立ちます。