赤血球沈降速度が低下するのはどれか。
- 貧 血
- 肝硬変
- 悪性腫瘍
- 細菌感染
- 播種性血管内凝固症候群〈DIC〉
解答解説
正解は5.播種性血管内凝固症候群〈DIC〉です。
赤血球沈降速度(ESR)は、炎症性疾患や悪性腫瘍、感染症などで一般的に上昇しますが、DICでは血液凝固が過剰に活性化され、血漿内のフィブリノーゲンが低下します。このフィブリノーゲン低下が、赤血球同士の連銭形成を妨げるため、赤血球沈降速度が低下する原因となります。
選択肢の解説
- 貧血
誤りです。貧血では血液の粘性が低下し、赤血球沈降速度は通常上昇します。特に炎症性疾患に伴う貧血では、ESRの上昇が顕著です。 - 肝硬変
誤りです。肝硬変では一般的にフィブリノーゲンが維持されることが多く、赤血球沈降速度が低下することは稀です。また、炎症が伴う場合はむしろESRが上昇することがあります。 - 悪性腫瘍
誤りです。悪性腫瘍では炎症反応が誘発されるため、フィブリノーゲンが増加し、赤血球沈降速度が上昇します。 - 細菌感染
誤りです。細菌感染では急性期反応としてフィブリノーゲンが増加するため、赤血球沈降速度が上昇します。 - 播種性血管内凝固症候群〈DIC〉
正解です。DICでは、凝固系が亢進するためフィブリノーゲンが消費され、赤血球沈降速度が低下します。赤血球連銭形成が起こりにくくなるためです。
ワンポイントアドバイス
赤血球沈降速度(ESR)は、炎症性疾患や感染症、腫瘍などで上昇する指標として一般的ですが、DICのように凝固異常を伴う状態では例外的に低下します。このような例外的な状況を把握しておくと、問題解答の際に役立ちます。