胸部CT(別冊No. 3)を別に示す。矢印の所見はどれか。
- 肺炎
- 胸 水
- 肺 癌
- 肺塞栓
- 心囊液貯留
解答解説
正解は2.胸水です。
胸部CT画像における矢印の指している部分には、肺野と胸壁の間に液体が貯留している所見がみられます。これは典型的な胸水の所見です。
各選択肢の解説
- 肺炎
誤り。肺炎では肺野に区域性のすりガラス陰影や浸潤影が見られますが、矢印の示している部位は胸腔内の液体貯留であり、肺炎の所見ではありません。 - 胸 水
正解。胸水は、肺と胸壁の間(胸腔)に液体が貯留する状態です。CTでは、肺野外側の胸壁付近に均一な低吸収域として見られます。 - 肺 癌
誤り。肺癌は肺実質内の腫瘤影や不均一な病変として描出されますが、矢印の示している領域は液体貯留であり、腫瘤の所見ではありません。 - 肺塞栓
誤り。肺塞栓はCT肺動脈造影で、肺動脈内の血栓による欠損像として描出されますが、この画像にはそのような所見はありません。 - 心囊液貯留
誤り。心囊液貯留は、心臓周囲に液体が貯留する状態であり、心臓を取り囲むような低吸収域として認められますが、矢印の指す部位は胸腔内であり、心囊液の所見ではありません。
ワンポイントアドバイス
胸水の特徴的な所見:
- 胸部X線:肺野の下部に境界の明瞭な液体貯留が見られる(特に直立位で濃度勾配を伴う)。
- 胸部CT:胸壁と肺の間に低吸収域(液体貯留)が見られる。
臨床背景としては、胸水は感染症、悪性疾患、心不全など様々な原因で発生します。臨床所見や胸腔穿刺による検査が重要です。