第51回

第51回理学療法士国家試験 午後問題95

胸部CT(別冊No. 3)を別に示す。矢印の所見はどれか。

  1. 肺炎
  2. 胸 水
  3. 肺 癌
  4. 肺塞栓
  5. 心囊液貯留

解答解説

正解は2.胸水です。

胸部CT画像における矢印の指している部分には、肺野と胸壁の間に液体が貯留している所見がみられます。これは典型的な胸水の所見です。

各選択肢の解説

  1. 肺炎
    誤り。肺炎では肺野に区域性のすりガラス陰影や浸潤影が見られますが、矢印の示している部位は胸腔内の液体貯留であり、肺炎の所見ではありません。
  2. 胸 水
    正解。胸水は、肺と胸壁の間(胸腔)に液体が貯留する状態です。CTでは、肺野外側の胸壁付近に均一な低吸収域として見られます。
  3. 肺 癌
    誤り。肺癌は肺実質内の腫瘤影や不均一な病変として描出されますが、矢印の示している領域は液体貯留であり、腫瘤の所見ではありません。
  4. 肺塞栓
    誤り。肺塞栓はCT肺動脈造影で、肺動脈内の血栓による欠損像として描出されますが、この画像にはそのような所見はありません。
  5. 心囊液貯留
    誤り。心囊液貯留は、心臓周囲に液体が貯留する状態であり、心臓を取り囲むような低吸収域として認められますが、矢印の指す部位は胸腔内であり、心囊液の所見ではありません。

ワンポイントアドバイス

胸水の特徴的な所見

  • 胸部X線:肺野の下部に境界の明瞭な液体貯留が見られる(特に直立位で濃度勾配を伴う)。
  • 胸部CT:胸壁と肺の間に低吸収域(液体貯留)が見られる。

臨床背景としては、胸水は感染症、悪性疾患、心不全など様々な原因で発生します。臨床所見や胸腔穿刺による検査が重要です。