第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題82

長期の安静臥床によって上昇するのはどれか。

  1. 免疫能
  2. 耐糖能
  3. 静脈還流量
  4. 尿中カルシウム
  5. クレアチニン・クリアランス

解答解説

正解は4.尿中カルシウムです。

長期の安静臥床により、骨吸収が促進され、カルシウムが血液中に過剰に放出されます。このカルシウムは腎臓を通じて尿中に排泄されるため、尿中カルシウム量が上昇します。この状態は、高カルシウム血症や尿路結石のリスクを高める原因にもなります。

選択肢の解説

  1. 免疫能
    誤りです。長期の安静臥床は免疫系に悪影響を及ぼすことが多く、免疫能は低下します。運動不足やストレスによる影響も含まれます。
  2. 耐糖能
    誤りです。安静臥床によりインスリン抵抗性が増加し、耐糖能は低下します。これは糖代謝の悪化を招き、血糖値のコントロールに影響を与えます。
  3. 静脈還流量
    誤りです。安静臥床により静脈還流量は減少します。筋ポンプ作用が低下することで、血液が下肢に滞留しやすくなり、むしろ血流循環が悪化します。
  4. 尿中カルシウム
    正解です。骨吸収の促進により、尿中に排泄されるカルシウム量が増加します。長期臥床では骨量減少(骨粗鬆症)を引き起こしやすいため、この変化は重要な兆候です。
  5. クレアチニン・クリアランス
    誤りです。安静臥床により腎血流量が減少するため、クレアチニン・クリアランスは低下します。これは腎機能の低下を反映する指標です。

ワンポイントアドバイス

長期の安静臥床が身体に及ぼす影響は多岐にわたります。骨吸収の亢進による尿中カルシウムの増加、筋萎縮、耐糖能の低下、静脈還流の減少などが主な特徴です。これらを理解しておくと、臨床問題での対応がスムーズになります。特に、骨量減少とその結果としてのカルシウム排泄増加は見逃せないポイントです。