脳卒中片麻痺に対する斜面台を用いた運動療法の目的で適切でないのはどれか。
- 内反尖足の予防
- 立位感覚の向上
- 覚醒レベルの向上
- 体幹筋筋力の維持
- 膝関節伸展筋の痙縮抑制
解答解説
正解は5.膝関節伸展筋の痙縮抑制です。
斜面台を用いた運動療法は、重力を利用した適切な肢位保持や負荷の調整により、立位感覚の向上や内反尖足の予防、覚醒レベルの向上などを目的として行われます。ただし、膝関節伸展筋(特に大腿四頭筋)の痙縮を抑制する効果は期待できません。斜面台は、膝関節伸展位を維持する姿勢をとるため、むしろ伸展筋の緊張が促進される可能性があります。
選択肢の解説
- 内反尖足の予防
斜面台を使用することで、足部の背屈位を維持し、足関節の内反尖足の変形や拘縮を予防する効果が期待されます。この目的は適切です。 - 立位感覚の向上
斜面台を用いて徐々に傾斜を増やすことで、立位姿勢に必要な感覚や体性感覚入力を促進できます。特に脳卒中片麻痺患者に対して、立位バランスを学習させるために有効です。この目的は適切です。 - 覚醒レベルの向上
斜面台を使用することで、頭部の位置や重力変化に伴う血流の変化が刺激となり、覚醒レベルの向上が期待できます。特に低覚醒状態の患者には有用です。この目的は適切です。 - 体幹筋筋力の維持
斜面台での訓練は体幹筋の姿勢保持能力を向上させるために有効です。傾斜角度の調整によって、体幹の筋力や耐久性のトレーニングが可能です。この目的は適切です。 - 膝関節伸展筋の痙縮抑制
膝関節伸展位を維持する斜面台の使用では、膝関節伸展筋の緊張が高まる可能性があり、痙縮の抑制には適しません。痙縮の緩和には、持続的な軽い伸張や適切な抗痙縮療法が必要です。この目的は不適切です。
ワンポイントアドバイス
斜面台は、重力や傾斜角度を活用して感覚入力を促進するリハビリ機器です。片麻痺患者では、立位感覚の獲得、内反尖足の予防、覚醒レベルの改善などが主な目的となります。一方、痙縮の抑制にはストレッチやボトックス療法などの別のアプローチが必要であることを理解しましょう。