第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題50

事故・過誤に関連した用語の説明で適切なのはどれか。

  1. 有害事象とは生命に直結する事故である。
  2. インシデントとは重大な事故の発生である。
  3. コンプライアンスとは法令を逸脱する行為である。
  4. アクシデントでは医療従事者の過誤の有無を問わない。
  5. Heinrichの法則では重篤な事故の数は軽微な事故の数と反比例する。

解答解説

正解は4.アクシデントでは医療従事者の過誤の有無を問わないです。

アクシデントとは、意図しない事象が発生して患者に害を及ぼしたケースを指します。この場合、医療従事者の過失の有無にかかわらず分類されます。他の選択肢の説明は誤っています。

選択肢の解説

  1. 有害事象とは生命に直結する事故である。
    誤りです。有害事象とは、治療や診療に関連して患者に不利益をもたらした事象を指しますが、必ずしも生命に直結するとは限りません。軽度の症状や影響も含まれる広範な概念です。
  2. インシデントとは重大な事故の発生である。
    誤りです。インシデントとは患者に害を及ぼす前に発見されたヒヤリ・ハット事例を指します。重大な事故そのものではなく、予防可能な出来事を含みます。
  3. コンプライアンスとは法令を逸脱する行為である。
    誤りです。コンプライアンスとは法令や規則、倫理的な基準を遵守することを指します。法令を逸脱する行為とは真逆の意味です。
  4. アクシデントでは医療従事者の過誤の有無を問わない。
    正解です。アクシデントは、意図しない事象が発生し患者に害が及んだ場合を指し、医療従事者の過失の有無を問わずに分類されます。自然発生的な問題やシステムエラーによるものも含まれます。
  5. Heinrichの法則では重篤な事故の数は軽微な事故の数と反比例する。
    誤りです。Heinrichの法則では、1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故があり、その背景に300件のヒヤリ・ハットが存在するという概念が提唱されています。この関係は反比例ではなく、因果的な関係を示しています。

ワンポイントアドバイス

医療安全の分野では、用語の正確な意味を理解することが重要です。インシデントは予防的な取り組みの材料として、アクシデントは発生原因の分析に役立ちます。また、Heinrichの法則はリスク管理の基本的な考え方として覚えておきましょう。