第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題39

神経筋再教育について正しいのはどれか。

  1. 随意運動を促通する。
  2. 他動運動を用いることはない。
  3. 骨関節障害には適用できない。
  4. 意識がない状態でも適用できる。
  5. 完全脱神経筋の治療として有効である。

解答解説

正解は1.随意運動を促通するです。

神経筋再教育(Neuromuscular Re-education)は、中枢神経系または末梢神経系の障害により損なわれた運動機能の再獲得を目的とした訓練法です。随意運動を促通することが中心で、動作の正確性、筋活動の調整、協調性の改善を目指します。他動運動も補助的に使用しますが、完全な脱神経筋には適用できません。

選択肢の解説

  1. 随意運動を促通する
    正解です。神経筋再教育では、患者の随意的な運動を引き出し、その運動を繰り返し行うことで、神経系と筋系の再統合を図ります。これは神経障害のリハビリにおいて基本的なアプローチです。
  2. 他動運動を用いることはない
    誤りです。他動運動は、神経筋再教育の補助として使用されることがあります。患者が随意的に動かせない場合、他動的な動作を通じて正常な運動パターンを学習させることも含まれます。
  3. 骨関節障害には適用できない
    誤りです。神経筋再教育は骨関節障害にも適用されることがあります。神経筋の制御を改善することで、動作の正確性や関節保護が期待できるためです。
  4. 意識がない状態でも適用できる
    誤りです。神経筋再教育は随意的な運動を必要とするため、意識がない状態の患者には適用できません。その場合、適応する他の介入方法が選ばれます。
  5. 完全脱神経筋の治療として有効である
    誤りです。完全脱神経筋(例:神経の完全断裂)では、神経筋再教育は有効ではありません。残存する神経機能がある場合にのみ適用されます。

ワンポイントアドバイス

神経筋再教育は、神経障害による運動機能の損傷に適用されるリハビリ手法です。随意運動を重視する一方で、他動運動やタクタイル刺激なども補助的に活用します。患者の意識状態や神経損傷の程度を評価し、適切な訓練法を選択しましょう。