第51回

第51回理学療法士国家試験 午前問題38

頸椎の可動性を最も制限するのはどれか。

  1. SOMI装具
  2. ネックカラー
  3. ハローベスト
  4. Milwaukee装具
  5. フィラデルフィアカラー

解答解説

正解は3.ハローベストです。

ハローベストは、頸椎の動きを最も厳密に制限する装具であり、頸椎骨折や重度の不安定性の治療に用いられます。頭部を金属ピンで固定し、胸部と連結する構造により、頸椎全体の可動性を完全に制限します。他の装具は頸椎の支持や部分的な制限に留まります。

選択肢の解説

  1. SOMI装具
    誤りです。SOMI(Sternal Occipital Mandibular Immobilizer)は頸椎の屈曲と一部の回旋を制限しますが、ハローベストほどの制限力はありません。頸部安定の補助装具として使用されます。
  2. ネックカラー
    誤りです。ネックカラーは軽度な頸部の支持や動作制限を目的とした装具であり、頸椎の可動性制限は限定的です。外傷後の短期間の使用が一般的です。
  3. ハローベスト
    正解です。ハローベストは、頭部を直接固定するピンと胸部との連結により、頸椎全体の可動性を完全に制限します。これは、最も頸椎の可動性を制限する装具として知られています。重度の不安定性や骨折治療で用いられます。
  4. Milwaukee装具
    誤りです。Milwaukee装具は脊柱側弯症の矯正に用いられる装具であり、頸椎の動きを直接的に制限するものではありません。頸部に支柱がある場合も、可動性制限はハローベストほどではありません。
  5. フィラデルフィアカラー
    誤りです。フィラデルフィアカラーは、頸椎の中等度の安定化を目的とした装具で、前屈・後屈の制限には有効ですが、ハローベストほどの制限力はありません。

ワンポイントアドバイス

装具の適応を理解する際には、目的(可動性の制限、支持、矯正)と制限範囲を把握することが重要です。特にハローベストは最大限の制限力を持つため、患者の心理的負担が大きくなることも考慮して管理する必要があります。