Duchenne型筋ジストロフィーについて正しいものを選びなさい。
- 学童期に発症する。
- 心筋障害はまれである。
- 下肢に伸展拘縮をきたす。
- 常染色体劣性遺伝である。
- 筋形質膜にジストロフィン蛋白がみられる。
解答解説
正解は 3.下肢に伸展拘縮をきたす です。
解説
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は、X連鎖性劣性遺伝による遺伝性疾患で、ジストロフィン遺伝子の異常により筋細胞膜が破壊され、進行性の筋力低下をきたします。以下、それぞれの選択肢について解説します。
- 学童期に発症する
DMDは通常、幼児期(2~5歳頃)に発症します。歩行や走行が遅れたり、Gowers徴候(床から立ち上がる際に手を使う)などの症状が見られます。学童期は発症ではなく、症状が進行する時期です。この選択肢は誤りです。 - 心筋障害はまれである
DMDでは進行性の心筋障害(拡張型心筋症)が高頻度で見られます。心機能低下は後期症状として重篤化し、生命予後に関わる重要な要素です。この選択肢は誤りです。 - 下肢に伸展拘縮をきたす(正解)
DMDでは、筋力低下が進行するにつれて、下肢(特に足関節や膝)の伸展拘縮やアキレス腱の短縮が生じます。これにより、尖足(つま先立ち歩行)や膝関節の屈曲拘縮が目立つようになります。この選択肢は正しいです。 - 常染色体劣性遺伝である
DMDはX連鎖性劣性遺伝であり、主に男性に発症します(女性はキャリアとなることが多い)。常染色体劣性遺伝ではないため、この選択肢は誤りです。 - 筋形質膜にジストロフィン蛋白がみられる
DMDではジストロフィン蛋白が欠損または著しく減少しています。ジストロフィン蛋白は筋細胞膜の安定性を保つ役割を持つため、その欠損が筋細胞の破壊を引き起こします。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
Duchenne型筋ジストロフィーはX連鎖性劣性遺伝病で、ジストロフィン蛋白の欠損により筋力低下と筋壊死を伴う疾患です。治療にはリハビリテーション(関節拘縮予防、呼吸機能維持)やステロイド療法が重要です。進行性の心筋症や呼吸筋麻痺が予後を決定づけるため、早期から全身管理が必要です。発症時期(幼児期)や進行時の特徴(尖足、拘縮)を理解しておきましょう。