第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題77

アポトーシスによる細胞の変化について、最も適切なものを選びなさい。

  1. 核の融解
  2. 細胞の膨化
  3. 細胞内容の放出
  4. 散在性の細胞死
  5. 周囲の炎症反応

解答解説

正解は 4.散在性の細胞死 です。

解説

アポトーシス(細胞の計画的な死)は、生理的または病的状況下で発生し、主に周囲の組織に影響を及ぼさないように細胞が自己制御で死ぬプロセスです。以下がアポトーシスの特徴です。

  1. 核の融解
    アポトーシスでは核の凝縮(クロマチン濃縮)や断片化が起こりますが、核全体が融解する(カリオリシス)はネクローシス(壊死)で見られる現象です。この選択肢は誤りです。
  2. 細胞の膨化
    アポトーシスでは細胞の縮小が特徴的です。膨化(細胞腫脹)はネクローシスに特徴的であり、この選択肢は誤りです。
  3. 細胞内容の放出
    アポトーシスでは細胞膜が保たれたまま進行するため、細胞内容物は外に放出されません。細胞内容の放出はネクローシスに見られる現象です。この選択肢は誤りです。
  4. 散在性の細胞死(正解)
    アポトーシスは個々の細胞が計画的に死ぬ過程であり、散在性に発生します。ネクローシスのように集団的ではなく、この選択肢が正しいです。
  5. 周囲の炎症反応
    アポトーシスでは細胞膜が維持されるため、炎症反応を引き起こしません。炎症は主にネクローシスで生じます。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

アポトーシスとネクローシスの違いを明確に理解することが重要です。アポトーシスは細胞のプログラムされた死であり、炎症を引き起こさず、周囲の組織に影響を与えません。一方、ネクローシスは病的な細胞死で、細胞内容物の放出や炎症を伴います。試験では両者の特徴を比較する問題がよく出題されるため、各ポイントを押さえておきましょう。