第59回

第59回理学療法士国家試験 午後問題76

前頭葉の損傷による高次脳機能障害で生じるものを2つ選びなさい。

  1. 視覚失調
  2. 肢節運動失行
  3. 触覚失認
  4. 相貌失認
  5. Broca失語

解答解説

正解は 2.肢節運動失行5.Broca失語 です。

解説

前頭葉の機能
前頭葉は運動、言語、実行機能、人格・情動制御などに関与しています。前頭葉損傷では運動機能障害(麻痺や失行)、言語機能障害(特に左前頭葉損傷でのBroca失語)、遂行機能障害、抑制の低下、注意の低下が生じます。

  1. 視覚失調
    視覚失調は、後頭葉の視覚野や頭頂葉の視覚情報処理の障害によって生じる障害です。前頭葉の損傷では生じません。この選択肢は誤りです。
  2. 肢節運動失行(正解)
    肢節運動失行は、動作を適切に行う運動プランニングが障害される状態で、主に左前頭葉や頭頂葉の損傷で生じます。特に前頭葉の損傷が原因で、指示された動作ができないことがあります。この選択肢は正しいです。
  3. 触覚失認
    触覚失認は、触覚刺激の認識障害で、頭頂葉の損傷によって引き起こされます。前頭葉の損傷では生じないため、この選択肢は誤りです。
  4. 相貌失認
    相貌失認は、顔を認識する能力が障害される症状で、後頭葉の下部や側頭葉(特に右半球)に障害がある場合に生じます。前頭葉の損傷では生じません。この選択肢は誤りです。
  5. Broca失語(正解)
    Broca失語は、左前頭葉下部(ブローカ野)の損傷によって生じる言語障害で、非流暢な発話が特徴です。発話は努力的で文法構造が欠如しますが、理解は比較的保たれます。この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

前頭葉損傷でみられる症状には、Broca失語や肢節運動失行のほか、注意障害、遂行機能障害、感情制御の障害、意欲低下などがあります。部位別に生じる障害を整理すると理解が深まります。また、頭頂葉や側頭葉、後頭葉の障害で出現する症状と区別することも重要です。